著者:石田 麻琴

「数」のWEBメディア、「質」のWEBメディア。最後に勝つのはどちら?【no.0953】

 クオリティが勝つのか、それとも数が勝つのか。インターネットでメディアを展開していくとして、最終的に勝つのはどちらなのでしょうか。皆さんはどう思われるか、ぜひ意見を伺いたいところです。

 先日、大学の先輩と食事をしているときにWEBメディアの話になりました。

 ネット上のメディアとして現在圧倒的に勝っているA社。そして、後塵を拝しているB社の2つについてです。A社は爆発的なコンテンツ量で勝負をしています。記事を外注化しています。ある程度のクオリティコントロールをしながら、情報を増やしています。逆にB社です。基本的に、自社のスタッフしか記事を書きません。高いクオリティを保っていますが、そのため記事の数は出せていません。

 B社の方が言いました。「最終的には『本物』のコンテンツを作る方が勝つ。だからうちが勝つんだ」と。これについて、先輩は「本当の本当にそうなのか。『そう思いたい』だけじゃないのか?」と言うのです。

 私はどちらかというと、B社と同じ考えです。「もっとも詳しい人間が、もっとも詳しいことを書く」だからこそお客様が信用してくれ、継続して読み続けてくれるのだと、そう思っていました。このセオリーを十分理解した上で、「本当の本当にそうなのか」と言うのです。

 一流のプロの人間が1つの記事を4万円で書いたとします。アマチュア(もしくは半プロ)の人間が1つの記事を4,000円で書くとしたら、そこに10倍の記事数の違いが生まれます。クラウドソーシングでの記事発注のレベルも上がっていますので、きちんとディレクションをすることができれば、10倍の記事数を上げたとしても、内容は10分の1にはならないはずです。7割もしくは6割の出来、といったところでしょうか。

 また、別の問題があります。記事の書き手側ではなく読み手側に、一流のプロが書いた文章とアマチュアが書いた文章の違いがわかるのか、違いにこだわるのか、という問題です。情報の受信側のことを考えると、「最終的には『本物』のコンテンツを作る方が勝つ」というのは、やはり「自分が『そう思いたい』だけじゃないのか」になるわけです。

 と思っていたら、翌日逆の現象がおきていました。あるWEBサイトの参照元として、とあるキュレーションメディアからの流入があったのですが、ついに参照元データから消えてしまいました。「圧倒的な数を出して、圧倒的にPVを稼いでいるハズのメディア」からの参照元データが消えたのは衝撃でした。やはり重要なのは数ではなく、クオリティなのでしょうか。

 ECMJのクライアントさんには実はコンテンツのクオリティに重点を置いている会社さんと、数に重点を置いている会社さんのそれぞれがいらっしゃいます。現状ではいずれの会社さんとも、アクセス数・PV数は伸びている状態なので「最終結果」はわからないのですが、これから最終的なコンバージョンとして、どのような差が生まれてくるのでしょうか。

 WEBメディアの目的やカテゴリによっても異なるのでしょうし、解の無い話なのかもしれませんが、皆さんはどう思われるでしょうか。A社の方向性は「メディアのブランド化」であり、B社の行く先は「記者のブランド化」なのでしょうか。

 原理原則から考えて、唯一はっきりしていることは、クオリティを保つならもちろんのこと、数に重点を置く場合も「最低でもひとつの独自コンテンツ」がないと、長期的には生き残ることはできないだろう。はっきり言えるのはそれくらいではないかと思います。

 おわり。