お客様を絞りましょう。お客様を絞りましょう。
よく言われることです。私もネットショップ運営の講演をさせてもらう際に、「お客様を絞る」ことを1つ目のポイントとして挙げさせてもらっています。ちなみに2つ目のポイントは、「データをとって、毎日カイゼンする」ことです。
ではなぜ、お客様を絞らなくてはいけないか、ということです。それはある特定の分野で「1番」にならないと意味がないから。極論をすれば、市場で生き残れないから、に他なりません。ごく一部の大企業はともかくとして、ほとんどの企業にとっては「お客様を絞ら」ないと、「1番」にはなれないはずです。
「1番」お年寄りに優しいカフェ。「1番」お母さんが喜ぶ遊園地。「1番」素材が美味しい和食屋。何でもいいです。日本中すべての事業と比較することは難しいですから、まずは「自分が思っているだけ」でもいいと思います。ただ、「●●といったら××さんだよね」と言われることを目指さなくてはいけません。
なぜ1番にならなければいけないか。1番にならないと、利益率が確保できないからです。2番手以降になると、値段のたたき合いになります。価格競争です。お客様はよりいいサービスを利用したいわけですから、2番手以降の選択は妥協の産物になります。妥協してでも選ぶ理由は、詰まるところ価格にいきつきます。
1番であれば、適正な価格で、適正な利益を設定してサービスを提供することができます。サービスを利用するためにお客様が順番を待ってくれることもあるかもしれません。現にこの時代に、3ヶ月待ち、6ヶ月待ちが続いているサービスもあるでしょう。2番手以降であるにも関わらず「お客様がサービスの利用を待ってくれる」ということはありえません。待つなら、1番手のサービスを待ちます。
また1番にならないと、お客様が「話題」にしてくれません。商売の最高の集客手段はお客様による「口コミ」です。「口コミ」があれば、リスクを負って多額の広告費を支払う必要もありません。インターネット、SNSが一般化した時代ですから、お客様からの「口コミ力」はこれからもさらに強くなっていくでしょう。
例えば、自分があるサービスの1番手と2番手を知っていたとします。友人・知人・SNSで情報発信をするときに、わざわざ2番手のサービスを口コミするか、という話です。特別に人に知らせたくないというケースもあるのかもしれませんが、基本的にはもっとも良いサービスを人に伝えるのが通常でしょう。伝える側の人間の信用とブランドもありますから、「わざわざ2番手を・・」ということはないはずです。
サービスの利益率、サービスの集客力、1番手と2番手の差は加速度的に離れていくことになります。1番手と「その他、大勢」という図式です。サービスの成長期、成熟期は「2番手、3番手」の会社も利益をあげることができますが、長期的にみれば1番だけが生き残ります。市場環境で利益をあげていても仕方ありません。2番手以下は窮しながら会社を経営していくことになります。
お客様を絞ると売上が減るように思えます。お客様を広げた方が売上は取れるような気がします。しかしながら、お客様を広げるということは「大資本と戦う」ということです。短期的には取れる市場でも、長期的には資本力に負けてしまいます。
絞ったマーケットで高いシェアを狙う。高いシェアを実現したら、お客様を広げるのではなくて、また他のお客様を絞る場所をつくる。そのまた絞ったマーケットで高いシェアを狙う。これからのマーケティングの原理原則ではないでしょうか。そうなるとやはり、「人財の数=売上」の時代、ということになります。事業のトップを張れる、「プチ経営者」を何人育てられるでしょうか。
おわり。