著者:石田 麻琴

「70%を100%続ける」。100%を期待すると身動きが取れない【no.0350】

 ネットショップのあるあるストーリー、その壱つづき。

(前回はこちら

猪井氏(いいし)先生から電話がかかってきた翌日、二子(にこ)社長がおにぎり水産を訪れました。前回の勉強会の続きです。

「二子社長。昨日、突然、猪井氏先生から電話がかかってきまして。二子社長に教えてもらったことを、自分で資料にまとめて、社内で説明会を行いなさいと。頭で理解するだけではなくて、次の人にきちんと説明ができてこそ、『わかってる』ことになるんだ、と強く言われまして」

鬼切社長は少し困った顔をして、二子社長に言いました。

「ははは。猪井氏先生らしいですね。昨日の朝、猪井氏先生と電話をしまして、前日鬼切社長に会ったことを伝えると、『ほな、電話してみよ』と仰っていましたね。おそらく、そのことを伝えようと思ったのだと思いますよ。ちなみに私も、『人が理解できるように説明できてこそ、自分がわかってるってことなんだぞ』と猪井氏先生に教えてもらいましたよ。それ以降、猪井氏先生との打ち合わせの内容は、自分で資料にまとめて定期的な社内の勉強会で報告をしています。完全にスタッフのみんなが理解してくれるまでには、もう少し工夫が必要そうですが、そこは一歩一歩着実に、時間をかけて進んでいくしかないですから」

「にこにこ水産でも同じようにやられていたんですね。大変じゃないですか?資料を作ったり、みんながわかるまで説明したりするのは」

二子社長がニコッと笑って言います。

「大変ですよ。資料を作るのに時間もかかりますし、猪井氏先生が話されていたことを思い出せない時もあります。打ち合わせのときのメモを読んでも、どんな話だったか思い出せないときもあります。頭の中では、猪井氏先生に教わったことがわかっているのに、文章や図やイラストでどういう風に表現すればいいか、思い浮かばないこともあります。そういうときが一番もどかしいですね。自分が恥ずかしくなりますし、嫌になります」

「二子社長でも、そういうときがあるんですね」

「鬼切社長、何言ってるんですか!私は、実は人一倍小心者ですよ。いつも、『これでいいのか、これでいいのか』と不安になります。気持ちは向かっているのに、手は動かないことだってあるんですよ」

「そういうときって、どうするんですか。にこにこ水産のスタッフの皆さんに資料を配布するのをやめたり、説明会自体をやめてしまったり。そこまでではなくても、延期したりとかもできると思うんですが」

「いやいや、あくまで『資料を作る。説明会を開催する』その2つが大前提です。資料はどんなに内容が下手くそになってしまっても、スタッフのみんなに配ります。社長ダメだな、と思われても、まず必ず配ることが大切なんです。説明会の開催も、一度決めたら必ずその日時で行います。私の都合で、日時を変えるのはマズいことですからね」

「すごいですね。自分だったら、説明会を中止したり、延期したりしてしまいそうです。現に、おにぎり水産の全体会議を延期するのは、しょっちゅうですし・・」

「鬼切社長、それは絶対に直した方がいいですよ。『一度決めたら絶対にやる』というルールを破って、『タイミングが合えばやる』になると、ルール自体が崩壊します。『タイミングが合えばやる』は『タイミングが合わなければ、やらなくても良い』ということです。そして、その『タイミングが合えば』の判断をするのは自分であり、主観です。主観での判断を是とすると、その判断基準はズルズルと下がっていきます

鬼切社長は、過去の自分を顧みて、恥ずかしさに赤面しました。

「鬼切社長、そういうときはこう考えるんですよ。『70%を100%続ける』と。必ずしも100%にしなくてもいい。成果に100%の期待をしてしまうと、身動きが取れなくなってしまいます。70%でも十分な出来です。大切なのは過不足なく徹底して100%続けることです。1回でも漏らしたら終わりだと思うことです」

二子社長のその言葉を聞いて、昨日ちょうど猪井氏先生も電話で同じことを言っていたのを思い出しました。「過不足なく徹底か」。鬼切社長はそう呟きました。

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