著者:石田 麻琴

広島カープがFAで主力選手を獲得するためには?五【no.0055】

(ぜひ其の壱から順番にお読みください)
「広島カープがFAで主力選手を獲得するためには・・?」其の壱

 「広島カープがFAで主力選手を獲得するためには・・?」其の五です。

■高額の年間シートはさっくり完売しているみたいだ‥!

 現状のマツダスタジアムの観客動員数は7割程度(2012年のデータなので、2013年はもう少し多い可能性あり)、その残り3割をいかにして埋めていこうかという話。座席種別の最適化を考える他に、残り9,000席を何とかして年間シートで埋めることはできないかと模索してみます。

 マツダスタジアムの年間シートは、ロイヤルボックス、ダッグアウトボックス、フィールドボックス、SS指定、S指定、バルコニー席、1階外野指定ライト、カープパフォーマンスの全部で8席。価格はロイヤルボックスの年間1シート367,500円が最も高く、もっともリーズナブルなのが1階外野指定ライトとカープパフォーマンスの年間1シート98,700円。各々の年間シートが確保されている座席数がわからないので、現状の売上が図れないのは残念だか、ここは7割の観客動員数から計算をした、チケットの年間売上28億円に入っているとしよう。

 残り9,000席の割り当てだが、「主催試合全72試合での座席種別の購入率」をデータ分析すれば、どの年間シートをどれくらい増やせそうかはわかる。また、年間シートにおいても「年間シートの座席種別の購入率」そして「年間シートの購買スピード」を見ることによって、その年間シートにより可能性があり、どの年間シートにテコ入れが必要なのかが見えてきそうです。マツダスタジアムの年間シートで言えば、ロイヤルボックスとダッグアウトボックスは完売になっており、最も人気が高い模様。フィールドボックス以下の年間シートについては、ある程度余裕がありそうです。

 ここで考えたいのはロイヤルボックスとダッグアウトボックスを拡張できないか、もしくはその2つのシートに準ずるような年間シートを設置することはできないか、ということです。拡張か設置か、どちらかと言えば後者でしょうね。前者だと、ロイヤルボックスの価値に見合わないところまで座席の範囲を広げなくてはいけなくなるので。ここは設置の方向ですかね。

■効率的に営業を回していくために、事前のデータ分析は欠かせない‥!

 一般の座席種別と同様、年間シートの座席種別も最適化を図ったとして、やはり課題になるのは、いかにして営業し、年間シートを販売していくか、というところになります。具体的な施策のアイデアは無限にあると思いますが、まずは営業をする対象のお客さまを絞っていくことでしょう。ここで取り組みたいのは、年間シートを購入されている既存のお客さまのデータ分析になります。

 年間シートの購入者というと、会社の福利厚生や接待として購入している法人と、広島カープのファンである個人がいると思います。個人の場合、単純に現在の年間シートをリプレイスするだけだったり、一般で購入しているチケットが年間シートに変わるだけだったりする可能性もあるので、まず営業で攻めるべきなのは法人かなぁと思います。

 法人IDをキーにして、2つのデータを作ります。1つは法人の企業データ。年商や従業員数、業界、本店所在地、設立年、経営者の特徴や社風までデータ化することができればベストでしょう。もう1つは、法人の年間シート購入データ。いつ、どの年間シートを何枚購入しているか、年間シートの座席種別や枚数は毎年変わっているのか同じか、毎年購入し続けているのか、などをデータとして集めることができるはずです。

 この2つのデータを活用して、新規に年間シートの営業をする企業や、年間シートのアップグレードを検討していただく企業をリストアップし、営業をおこなっていきます。年間1シート315,000円のダッグアウトボックス級の新しい年間シートを500席つくることができれば、1億5,750万円のチケット売上増ですね。28億円と足して約30億円の年間チケット売上になります。

 とはいえ、営業も一筋縄ではいかないので、ここもデータを活用してスパイスを。こちらは次回。

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