著者:石田 麻琴

「他人」が噂をしてくれるまでは、「自分」で叫び続けるしかない【no.0451】

 事業成長のセオリー。

 いかにして事業を拡大させていくか、そのセオリーについての気づきを私なりに書いていこうと思います。

 もし、自分が戦っている市場が成長期であれば、「需要>供給」の法則から、参入しているだけで事業が拡大していくかもしれません。サービスを供給している企業が10社しかなくて、サービスを利用したがっているお客様が100人、200人、300人と増えていくならば、10社すべてがハッピーである状態が続きます。

 黎明期から成長期への移行は、サービスの認知が臨界点を超えたときに起ります。それは「人が人に噂をしてくれるか否か」です。黎明期はサービス自体を認知している人がいない、もしくは少ない、さらには「本気で」信用してもらえていないわけですから、「このサービスはいいよ」と「他人」ではなく「自分」が叫ばなくてはいけません

 「自分」で叫んでいるうちに、黎明期から成長期に入ってくれば良いのですが、新しいサービスを始めたとしても、「自分」で叫ぶことに自分自身が飽きてしまい、「これだけ言ったのに、ダメだったか」と自己完結をしてしまうことが多くあります。「自分」で叫ぶことを辞めてしまったら、その時点で終了です。黎明期から成長期に入ることはありません。

 「自分」で叫び続けていると、サービスの魅力に気づいてくれる人がチラホラとあらわれます。「そのサービスは面白そうだ。本質的だ」というようなサービスに魅力を見出してくれる人もいますし、「なんだかわらかないけど頑張っているから」と、サービスではなく企業や人に魅力を感じてくれる人もいます。そうすると、少しずつ「実績」ができてきます

 「実績」ができてくると、「自分」で叫ぶ内容が変わってきます。最初は理念やコンセプトばかりを叫ぶしかないのですが、「実績」を話せば、その「事実」に興味を持ってくれる人があらわれます。そして、もちろん、それまでの「実績」としてサービスを購入・導入してくれたお客様が、サービスに満足してくれたならば「他人」が噂をしてくれるようになってきます。黎明期から成長期への小さな一歩です。

 ここで、サービスの新しい市場性に気づくのはお客様ではありません。勘のいい周りの企業が、サービスに興味を持ちます。一緒に協業をしてサービスを売りだそうという話になったり、独自で競合のサービスを構築したりしていきます。黎明期と成長期の初期段階においては、競合が増えることは大いに歓迎すべきことです。なぜなら、サービスの魅力を伝える発信力が「2倍」「3倍」と強くなっていくからです。このフェイズでは「とにかくユーザーに認知してもらう」ことが重要です。「営業」よりも「啓蒙」のフェイズでしょう。

 競合のサービスが1つ2つと増えると、発信力が2倍3倍になると同時に、サービスの「実績」も2倍3倍に増えていきます。そうなると、「サービスを認知してくれる人」と「サービスを信用してくれる人」がどんどん増えていきます。そして、さらに競合のサービスが増えるので、市場が一気に成長期に入っていくことになります。

 黎明期にサービスの理念やコンセプトを聞いて「はぁ、そういうものがあるんですね。わかりましたー」くらいの反応を見せていた人も、成長期の段階になると「そういうことだったのか!最初からちゃんと説明をしてくれよ!」ということを言い出します。黎明期にいかにしっかり伝えていても、そう言います。すべての話を真剣に聞くほど、人は暇ではないのです。仕方がないことです。

 これまでの「需要>供給」とは異なり、左側の「需要」が一気に膨らんでいきます。まさに「バブル」です。メディアがサービスに食いつき始め、発信を強めるのもこの頃です。需要側は加速的に大きくなり、供給側は体制が整ったところから順々に増えていきます。しばらく「バブル」は続いていきます。先に書いたように、サービスを提供する会社が10社、お客様が100人200人300人という状態です。

 まあ、インターネットのビジネスの場合は、全社が全社「ハッピー」にならない可能性もありますが。次回はその話から続けていきます。

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2 コメント

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