著者:石田 麻琴

「カメラのキタムラ、22店舗一斉閉鎖」はびっくりした。けれども・・【no.1216】

 いやー、今週一番驚いたのは「カメラのキタムラ、22店舗一斉閉鎖へ」のニュースでした。まあ、最近の人事的な動きから何かはあるのだろうな、とは思っていましたが。

携帯電話の販売に力を入れていたが、法律で自体が急変・・

 ニュースのおさらいです。

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 カメラ販売チェーンの「カメラのキタムラ」が、さいたま市の岩槻・東岩槻店など、少なくとも18道府県の22店舗を今月から来月にかけて一斉に閉店することがわかりました。

 運営する「キタムラ」では、カメラの販売などが落ち込む中で携帯電話の格安販売に力を入れていましたが、去年、総務省がスマートフォンの端末代を「実質0円」とする値引きを規制したことで、売り上げが大きく落ち込んでいました。(TBSNews原文ママ)
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 えっと・・。

 つまり、カメラのキタムラはカメラの販売を主軸にしていたが売上が低下していた。(「デジカメ買うなら専門店、カメラのキタムラ」ってCMだったしね)。それで、携帯電話の販売に力を入れていたのだけど、法律が変わったら自体が急変して、売上が回らなくなったと。

 まー、これは、厳しくいってしまえば、「経営努力」を怠ってしまったパターンなのでしょうか。

通信会社に依存するアウトオブコントロールな状態ではないか

 デジカメの需要がスマートフォンに吸収されて、市場がシュリンクした、これはわかる。そこで需要が伸びていた携帯電話(たぶんスマホ)の販売に力を入れたのだと思います。ドコモ、au、ソフトバンクなどの通信会社からのキックバックもそれなりに良かったのでしょう。

 半既得権益のような市場に国からメスが入る可能性は予測しなかったのだろうか・・。それに通信会社各社に依存するアウトオブコントロールな状態に経営が入ってしまっていると、カメラのキタムラの経営陣は考えていなかったのだろうか・・。

 もしかしたらデジカメとその次のサービスの繋ぎとして「携帯販売の注力」をしていたのかもしれないけれども、結果22店舗一斉閉店ということは、新しいモデルの立ち上げが間に合っていなかったということ。一気に閉店をして、地力を溜めて新しいサービスをスタート、という可能性も捨てきれませんが。あまり内情を知らないのに、とやとや言うのも微妙ですね。

これから家電量販店はどんな動きを見せるのか

 で、思ったのは、じゃあ、ヤマダ電機やビックカメラ、ケーズデンキ、エディオンなんていう家電量販店は大丈夫なのか?ということ。デジカメだけではなく、テレビも炊飯器も掃除機も洗濯機も売っている総合家電の店舗だから、もしかしたら利益のリスクヘッジがされているのかもしれないけれども、カメラのキタムラが携帯電話の販売によって経営を繋いでいたのだから、ヤマダ電機やビックカメラだって・・って思わないですか。

 前述した他家電のリスクヘッジもあるだろうし、カメラのキタムラとは通信会社からのキックバックの料率が全然異なる可能性があるので何ともいえないところではある。ただ、「総務省のスマートフォン値引き規制」が確実に影響があったことは良くわかったと。はたして、これから家電量販店はどんな動きを見せるのか、注目です。

 少し前のブログで「地元の西友がテナント屋さんになっていた!」という話を書いたんですが、カメラのキタムラもけっこう前から「携帯電話のテナント屋さん」になっていたのかと思うと少し悲しい。もしかしたら、携帯電話以外の部分を自社で運営しようとしていたのが間違いだったのかもしれない。西友のように「ほぼ全店テナント化」を2010年ごろから進めていたならば、状況は変わっていたのかなとも思います。

 だって、「ほぼ全店テナント」のイオンは元気だもんね。

 おわり。