著者:石田 麻琴

「それって意味あるんですか?」「それって効果あるんですか?」という「問い」【no.0653】

アドバイスをしたときに萎えるのが、

「それって意味あるんですか?」「それって効果あるんですか?」という「問い」です。

この「問い」をいう人は、そのアドバイスの価値や理屈や効果を聞きたいわけじゃないんですね。たとえ、そのアドバイスの価値や理屈や期待される効果について、トクトクと説明したとしても、アドバイスをまともに受け入れてくれることはありません。納得したいわけではなくて、単に「やりたくない」だけなんですね。

その「やりたくない」は、業務自体をおこなうのが面倒くさいからなのか、業務をおこなったとして結果が出なかったときの「自分」が怖いのか、理由は様々だと思いますが、とにかく「やりたくない」わけです。もし仮に、「6ヶ月後に100%、月商が1,000万円上がるからやってください。そうならなかった場合は、6ヶ月分のあなたの労力をお返しします!」といったとしても、まず「やらない」んですね。そもそも「やりたくない」ので。

こういう場合、コンサルタントとしては

「まずは『やってみる』ベースでスタートしていきましょうよ。

他の会社でもこの方法で実績が出ていますよ」と何とかなだめるか、もしくは「はーい、了解です。じゃあ、あなた自分で頑張ってねー」といって消えていくかのどちらかになります。クライアントさんの場合は愛情をもって前者ですし、相談に来られた方が「それって意味あるんですか?」といった瞬間に後者、なんですね。当たり前ですが。

基本的に、自分がわからない、理解できないアドバイスは、アドバイスしてくれた人を信じて「聞く」か、否かしかありません。そこに意味とか理屈とか効果とかの説明の必要性はあまりないと思っています。なぜなら、少し説明を受けたくらいでわかることなら、「とっくにできているはずだから」です。

なので、自分にとって「意味がわからない」「理由がわからない」「理屈が理解できない」ようなアドバイスこそ、取り組んでみる価値があるのではないかと思います。

そう考えると重要なのは、誰のアドバイスを聞くかです。アドバイスの内容の「意味・理由・理屈」は自分で消化できないわけですから、ある種、盲目的にアドバイスしてくれる人を信じるしかありません。これはもう、極端な話、実績しかないでしょう。

その人(会社)が過去におこなってきたこと、その人(会社)が懇意にお付き合いしている人々(会社)、その人の言動・人間性を総合的に判断して、「この人に乗っかってみよう」と思うしかないのです。まあ、コンサルタントとしては「それって意味あるんですか?」「それって効果あるんですか?」という「問い」がきた場合、自分自身と自社の課題として「この人(会社)に乗っかってみよう」とまだ思ってもらえてないんだろうなー、とか考えたりもしますが。

「それって意味あるんですか?」「それって効果あるんですか?」という「問い」は一種の企業文化になっているパターンもあって、ごくたまにですがアポイントにいくとスタッフ全員が「それって意味あるんですか?」「それって効果あるんですか?」を連発する会社があります。笑っちゃいますが、本当です。しかも、こういう会社って「その『問い』を投げかけることがビジネスマンとしてイケてること」だと思っちゃってるので厄介です。まあ、お付き合いできない会社ということになりますが。

あくまで、コンサルタントはヒアリングした情報と市場動向、過去の実績をもとに、「成果に近いと思われる方法」をアドバイスしているので、たとえ理解できなくても、まずは「やってみる」ベースでいって欲しいものです。

おわり。