事業成長のセオリー。(前回はこちら)
まずは前回のおさらいも兼ねて。
サービスの黎明期は「他人」が噂をしてくれないので「自分」で叫び続けるしかありません。新しいサービスを作ろうとしても、多くの事業者が「これだけ叫んでもダメか‥」とここで諦めます。人が気づいてくれる前に、自分が先に飽きてしまうのです。
そんな中、キャズム理論でいう「イノベータ―」の方々に気づいてもらえると、実績が生まれてきます。ひと言で「イノベータ―」と言っても、その気づき方は様々です。一概に「イノベーター」と括るのではなく、「その分野のイノベータ―」という表現が正しいかもしれません。ですから、その「分野」自体がなければ、イノベータ―の存在もありません。ここ重要です。
実績が生まれると、少しずつ「他人」が噂をしてくれるようになります。これに気づくのはサービスの受信者ではなく、発信者です。その「分野」の勘のいい競合が、ポツポツと参入してきます。サービスの発信力が2倍、3倍になっていきます。実績も2倍、3倍になります。いよいよ、成長期の到来です。
顧客が「イノベータ―」から「アーリーアダプター」に移行すると、メディアがサービスを取り上げるようになります。いよいよ本格的に「他人」が噂をし始めるわけです。「需要対供給」が「100対10」から「1000対10」「10000対10」というように、一気に爆発していきます。正に、バブルの状態です。
バブルの状態では、基本的に参入する発信者の誰しも得をします。なぜなら、需要が爆発的に伸びているからです。実際の実力があまりなくても、利益を享受することができます‥というのは、主にリアルの世界の話です。インターネット(WEBサービスやネットショップ)では必ずしも全員がハッピーの状態にはなりません。その理由は「商圏」にあります。インターネットだと「より良いサービス」に集中しやすいのですよね。
とはいえ、需要が圧倒的に伸びている状態では、仕掛ければ仕掛けるほど売上と利益が伸びていくのが通常です。需要の伸びは一瞬で起こります。しかし、供給の伸びは需要ほど早くはありません。中途採用やコンサルティングにより、準備ができた会社から市場に参入をしていきます。この「需要と供給」のズレが「一番儲かる(好きな表現ではないですが)」タイミングです。これを読み間違えると、「勘違い」しちゃうんですよねー。
成長期に出てくるのが類似品です。市場が伸びているときは類似品でも売れていきます。対コンシューマー(BtoC)であれば類似品、対ビジネス(BtoB)であれば、サービスのパッケージというものが現れます。サービス自体をパッケージ化して、一気に売り捌いてしまおうというわけです。
なぜなら、需要が一気に高まり「売り手市場」になっているのですから。どんどん売れるようにしたいわけです。「イノベータ―」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」と顧客層が広がっていくと、巷で流行っている「キーワード」というだけで、サービスの利用を決定する事業者さえ現れます。
ホームページとか、ネットショップとか、facebookページとか、SEO対策とか、リスティング広告とか、アフィリエイトとか、ビックデータとか、OtoOとか‥。「キーワード」だけでサービスを導入して、その後の運用ができていないから成果が出ない。そんな耳の痛い話もあるのでは‥
成長期も中盤に差し掛かります。ここで登場するのが、「代理店」です。パッケージ化されたサービスをガンガン売ってくれる会社が現れます。まず需要が伸びる。そしてパッケージ化される。そして代理店が売りまくる。このサイクルでも商売が回っていくのが、成長期の中盤から終盤です。
しかし、残念ながら、成長期は永遠に続かないのです。いずれ成熟期がやってきます。
つづきはこちら。