(前回はこちらからお読みください)
データを活用して、廃棄率75%減を実現した、スシローのデータマーケティングを解明しよう・・の第八回です。
前回は、データマーケティング上の仕組みの「構築」について書きました。内部データとしてどのようなデータを取得するか、そして廃棄率を100%減らすためにどのようなデータを取得しておけばよいのか、についてです。
*システムを「構築」しただけでは成果は上がらない
さて、ひと通り「構築」の話が終わったところで、「運用」の話に入ります。
データマーケティングにおいて、システムを「構築」しただけで、成果が出るということはありません。Eコマース事業が、ネットショップを「立ち上げた」だけで、自然に売れていかないのと同じで(一部のブランドについては勝手に売れていきますが)、「運用」を回しながら、成果を出すための「手探り」をしていかなければいけないわけです。「原因」と「結果」のチューニングですね。
回転寿司の廃棄率75%減を実現するためにも、アルゴリズムの設計だけではなく、運用による最適化が必要になります。「運用」のポイントについて探っていきましょう。
*お客様の飲食量「食パワー」を定義・予測する
データを使って、最初に定義したいのは、お客様の飲食量です。スシローのビッグデータ分析でも、この飲食量を「喫食パワー」という数値で表していると記事にありました。ここでは、「食パワー」と表現して、以下、食パワーを使ったデータマーケティングのイメージを考えてみます。
・入店したお客様に、過去のデータベースから「食パワー」を算出する。
・基本的にお客様の「食パワー」は全て一定の数値でスタートすると考えられるが、会員カードによる顧客IDが取得されている場合は、過去の入店データからお客様ごとの「食パワー」を設定することができる。
・上記に加えて、お客様が顧客IDを持たない場合でも、テーブルに案内するスタッフが、お客様グループメンバーの属性を確認し、端末に入力することで、メンバー合計の「食パワー」を設定することができる。
まずは、ここまで。入店後の運用の流れです。
*「食パワー」は「皿」の数とするか、それとも
回転寿司の店舗に、すでに複数のお客様グループが食事をしていて、そこ新しいお客様グループがやってきたと考えると話がややこしくなってくるので、まずはシンプルに開店直後の店内に、1組1名のお客様がやってきたとイメージしましょう。お客様の「食パワー」が一定で設定されるのならば、この1組1名のお客様(仮名:石田さん)の入店時点の「食パワーは●●」ということになります。
ここで、「食パワー」の定義ということになりますが、単純に「皿」の数とするか別の数字にするか。回転寿司の店舗として、寿司しか食事を扱っていないならば、「皿」の数で良いと思いますが、スシローやくら寿司のメニューにはうどんやそば、揚げ物などの寿司以外の料理があるので、やはりパワーという全く別の数字をつくった方が良さそうです。そうなると、商品マスターに新しい項目が追加されることになります。
・商品パワー:お客様がメニューを食べたときに、「食パワー」に影響する数字。
これですね。まずは入店したお客様に「食パワー」の数字が設定される。そして、お客様が食事をするたびに、「食パワー」の数字からメニューごとの「商品パワー」が引かれていく、というようなことをイメージしてもらえると良いかと思います。まず実際にデータが使われるのは、この「食パワー」の設定というところです。
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