経営者とスタッフのEコマース事業についての考え方がズレているため事業が前に進まない、というパターンがあります。
基本的に、考え方がズレているのは経営者の方です。Eコマースの市場の変化、ネットショップの運営の方法を十分に理解していないため、スタッフが苦労をすることになります。「こんな取り組み方じゃあ、売上が上がるわけないよ」というわけです。
まずありがちなのが市場環境の変化の認識の薄さ。本で読んだ内容をそのまま鵜呑みにしていたり、人や知人の経営者から聞いた話(噂話)を鵜呑みにしていたり、というパターンです。「ネットショップって儲かるらしいぞ」「どこどこの会社はネットで数百万売ってるらしい」「本に書いてあった」など、情報源は様々です。特徴があるとすれば、少なくとも「自己(自社)の体験ではない」というところでしょう。
これらは事実として間違ってはいないものの、結果だけを捉えていて重要なポイント(要因)が認識から抜けていたり、市場のスピードからして過去の出来事だったり、そもそも売れていても儲かってはいなかったりと、一面的な視点で見てしまっていることが多くあります。経営者自身がEコマース(もっといえばネット)をわかっていないので当然といえば当然です。
またネットショップの運営を理解していないためのズレ。根拠は不明ですが、「あそこでもできているんだから、ウチだってできるだろう」という捉え方です。大局的にみれば「できてる人がいるってことは、自分たちでもできる!」というのは正しい考え方ですが、そのままスタッフに要求するとすれば少々強引です。このパターンはネットショップの運営を基本的に「兼務」。経営者は仕事の余った時間を使ってEコマースの成果を上げるように要求します。
これら、スタッフの方がEコマースを深く認識しているので経営者のズレに悩まされることになります。もちろん経営者は「スタッフの甘え」と捉えるので、平行線をたどるわけなのですが。
この状態を解決する(される)方法として考えられるのは3つのパターンでしょうか。
ひとつはシンプルに、成果を上げること。経営者の理解が浅いこと、Eコマースの市場環境の変化は仕方ないことと捉え、現状のリソースの中でなんとか鉱脈をみつけて実績を上げます。実績が上がると「発言力」が上がります。発言内容が正しかろうが、間違っていようが、実績の上がっている人間の発言が通るのです。そして、理想とするEコマースの取り組みに経営者を動かしていきます。
もうひとつは経営者への外からの意識変化を期待すること。経営者自身も自分の考え方に絶対の自信を持っているわけではありません。ただスタッフからの指南は聞き入れられない。このような経営者は仲のいい友達経営者や尊敬する先輩経営者からの情報・意見で考え方がコロっと変わります。昨日まで「ネットなんて簡単だろう」と言っていても、次の日から「ネットはきちんとやらなきゃダメだね」になります。
あくまで他力本願の方法ですが、意図的に有名経営者の講演に誘ったり、食事の機会を作ったりすることで経営者に意識改革のきっかけを与えることができます。
そして最後のひとつは、Eコマースの市場を理解しネットショップの運営を理解し、ニュートラルな視点で状況判断ができる外部の人間に関わってもらうことでしょう。経営者は心の底では自分はわからないことを知っています、スタッフはわかっているようでも実績がありません。これでは判断の軸が決まらず、事業が前に進みません。この「判断の軸」の部分を外部の人間に任せるわけです。
もしかしたら経営者の考え方も正しいかもしれません。スタッフの考え方も正しいかもしれません。しかし、外部の人間が「その考え方で正しいですよ」「そのカタチに前に進んで大丈夫ですよ」というだけで、推進力が大きく変わります。
経営者とスタッフの認識のズレを無くし、同じベクトルでEコマース事業を進められてください。
おわり。