ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら)
「どれどれぇ~」
七海さんは会議室のノートパソコンを開いて、いつもネットショッピングをしているアパレルWEBサイトを開きました。WEBサイトのサイドナビの下の方にある「プレゼント配送について」というリンクをクリックしました。
リンク先のページには、このアパレルWEBサイトで商品を購入したお客様が、プレゼント配送を希望する場合の方法やオプションについての表記が並んでいました。
「プレゼント配送をご希望される場合は、ギフトラッピングを承っております。商品を購入する際に、ギフトラッピング希望のチェックボックスにチェックを入れてください、ってあるね。なんか有料だけども、メッセージカードをつけることもできるんだって」
七海さんがWEBサイトをマウスでスクロールしながらいいました。
「私、いつもこのネットショップで買ってるけれど、プレゼント配送ができるなんてまったく知らなかったわ。気にしてみてると、普段気づかないことに気づくものなのね」
七海さんの言葉に被せるように、友花里さんはいいました。
「でもさー、七海ぃ~、たとえば、『笹かまオニギリ』のネットショップでプレゼント配送をやるとしてさ、笹かまぼこをプレゼントで使うことってあるのかなぁ」
友花里さんにそういわれて、七海さんは「たしかにそうよねぇ」といって、黙ってしまいました。少しの間があった後、七海さんは何かを思いついたように「あっ!」といいました。
「でも、私、思うんだけども、『プレゼント』っていう表現が『笹かまぼこ』に合わないだけで、笹かまぼこを誰かに贈ることってあるわけじゃない?たとえばさ、実店舗の『笹かまおにぎり』に来店したお客様でも、笹かまぼこを送る方いらっしゃるし。あれって、お客様は自分の家に送っているわけじゃないよねぇ?」
七海さんが友花里さんに質問を投げかけました。
「たしかに七海のいうとおり、『プレゼント』とか『ギフト』って言葉が笹かまぼこには合わないだけなのかもしれない。実店舗の『笹かまオニギリ』から笹かまぼこを送るお客様は、たくさん購入して持って帰るのが重たいからとか、クール便で送りたいからとかご自宅に送るお客様もいらっしゃるけど、もちろん自宅以外に送るお客様もいらっしゃるよ。やっぱりお話を聞くと『お土産』って言葉をたくさん聞くわね」
「『お土産』かぁ・・」
七海さんは少し期待を外したような気がして、吐きだすようにこたえました。
「友花里、たしかに『お土産』として送ってらっしゃるんだと思うんだけども、ネットショップで購入して『お土産』としてお客様には送れないよねぇ。実店舗の『笹かまオニギリ』で購入した笹かまぼこだったら『お土産』になるけれども、ネットショップの『笹かまオニギリ』で購入した商品だったら、『お土産』にはならないじゃない」
友花里さんは七海さんの指摘を受けて、「たしかにねぇ」とため息をつきました。
またしばらく静かな時間が流れました。それを切るように、友花里さんが「あっ!」といいました。
「『お土産の買い逃しは笹かまオニギリのネットショップで!』みたいな表現はどう?この表現の対象は、プレゼントをする側、お土産の買う側の人になるんだけども、やっぱり旅行とか行くと、『これ買おうかなぁ』と思ったけど買わなかったものとかあるじゃない。それに、買ってみたら意外と美味しくて、『2つ買っといた方が良かったなぁ』ってものもあったりするじゃない。このアプローチってどうかな?」
「いいっ!すごくいいと思う!」
七海さんと友花里さんは手を取り合って喜びました。
つづきはこちら。
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