著者:石田 麻琴

目指せゴルフ場の勝ち組。市場縮小に勝つマーケティング。弐【no.0079】

 目指せゴルフ場の勝ち組。市場縮小に勝つマーケティング。その弐です。

まずはペルソナと戦略の背骨を設定する

 ゴルフ場の売上をいかに伸ばし、経営を再建させていくかという話です。

 まずはプロジェクトを推進するゴルフ場の現状把握(ヒアリングやデータ分析)。仮にそれを飛ばしたとして最初に考えるべきこと。売上の目標を設定することでも、施策のアイデアをブレストすることでもない。戦略を立てることだ。戦略とは背骨または本筋。お客様がサービスを知って興味を持ち、サービスを利用しリピーターになってもらう。その1本の筋をどこに設定するかということ。お客様とゴルフ場の間に、1本の線を引くこと。そしてその線、背骨はまず1本でなくてはいけない。

 戦略として求めるストーリーはどのようなものであるだろうか。

 都内の東証一部メーカーに勤務するAさんは現在40歳。大学を卒業してから転職をせず同じ会社に務め、現在は営業第三部の課長。26歳の時に結婚した同い年の妻との間に中学1年生と小学5年生の2人の息子がいる。住んでいる街は中央線の三鷹駅から徒歩10分の分譲マンション。愛車はホンダのオデッセイで、休みの楽しみはゴルフコースに出ること。仕事の関係上、日曜と水曜が休みなので、平日のゴルフも楽しむことができる。というように、軸としてペルソナを立てておく。ただ、ベストなペルソナはわからないので、変え続けることを前提で設定する。

A氏にゴルフ場Bを知ってもらうためのストーリー設定

 そして重要なのは、このあとのストーリー。まずはA氏にどうやってゴルフ場Bを知ってもらうか。インターネットでの検索なのか、新聞や雑誌での広告なのか。いずれにせよ、一度ホームページを見てもらうことになるだろう。ホームページをみたA氏に、どうやってこのゴルフ場Bに興味を持ってもらうか。これが2つめのストーリー。そして3番目のストーリーは、どのサービスを利用してもらうか。4番目のストーリーはいかにリピートしていただくか。ひとまずここまでで、ひとつの背骨を設定しておきたい。

 ペルソナA氏にインターネット上で検索してもらいゴルフ場Bを知ってもらう。ゴルフ場Bのホームページを見てもらい、メインの初回限定プランCを利用してもらう。初回限定プランCの利用後、A氏には半年に1回リピートプランDを利用してもらう。というように、お客様を引き上げるためのステップをイメージする。いま出したパターンは「知る」「興味を持つ」「利用する」「リピートする」の4つ。これが戦略の背骨であり本筋。

背骨のステップの成果だけを評価していく

 ひとまず背骨はこれで良い。むしろこの背骨を徹底的にずらさないことが重要。「知る」のステップとしてインターネットからという設定をする。そうしたら、「知る」のステップではインターネットへの対策だけを考えていく。なぜなら、この設定したお客様は「インターネットで調べる」お客様だから。

 何かの雑誌で見たとか、近所だから知っていたというお客様も利用する可能性はある。しかし、それは単に「ラッキーだね」という話になる。当然売上には入るけれども、施策の効果としてはカウントしない。あくまで、設定したステップを上ってもらうためには「どうすればいいか」を徹底して深堀する。そしてそこだけにリソースを投入していく。これを施策の成果として評価していくわけだ。

 まずは背骨・本筋をつくる。うちのお客様はこんな感じでゴルフ場にやってきて、こんな楽しみ方をして、リピートするようになってくれる、というストーリーをつくる。この1本の道こそが戦略。次回は背骨・本筋に結びつく指標の設定を行います。

 続きはこちら。
目指せゴルフ場の勝ち組‥!市場規模縮小を生き抜くためのデータマーケティング【参章】

【合わせて読みたい】
ゴルフ用品市場に関する調査を実施(2021年)矢野経済研究所さん