著者:石田 麻琴

物流業務をアウトソーシングから自社に戻すタイミング。【no.0213】

(前回のブログを読まれていない方は、まずこちらをお読みください)

前回のブログでは、ネットショップの物流業務をアウトソーシングする際のタイミングについて、いくつかのポイントを紹介しました。ネットショップの物流業務は、自社→外注→自社という3つのステップを踏むのが一般的です。では、アウトソーシングから自社に戻すタイミングとして、どのポイントを持って判断を下すか、というところをご紹介します。

 まず1つ目。1件あたりの発送コストとして、どれくらいの金額がかかっているか

その比較によって、アウトソーシングを継続するか、自社発送に戻すかを検討する考え方です。1件あたりの発送コストは、発送にかかった全費用を発送件数で割った金額で算出します。発送業務をアウトソーシングしている場合は、外注業者からの月々の請求金額を発送件数で割ることで、簡単に1件あたりの発送コストを計算することができます。

問題は、自社に戻したときのコストをいかにして計算するかです。ここの想定される数字が出せないと、自社発送に戻すべきか否かの判断をすることができません。コストの想定としては、倉庫をどれくらいの広さ借りるか、アルバイトをどれくらい採用するか、物流担当の社員をつけるか、ダンボールやプチプチなどの資材の仕入れ、佐川急便やヤマト運輸など物流業者の配送料金などが主に計算したいところです。

上記の項目のうち、資材の仕入れと配送料金については、発送件数比に関わってくるものなので、大きく削減することはできません。ポイントは、どれくらい効率的に発送作業を行うことができるか。時間あたりの発送件数や、商品保管の工夫などが、コストを下げる要因になります。一時的に、自社発送をシミュレーションしてみて、どれくらいのコストが想定されそうかをイメージすると良いですね。

 さて、2つ目。物流改善によるサービスの向上を求める場合

アウトソーシングから自社に物流業務を戻すタイミングとして、物流改善によるサービスの向上を求める場合が挙げられます。当然ですが、外注業者に物流業務を依頼しているときよりも、自社で物流業務を持っていた方が、お客様に対するサービスの自由度は高いわけです。特定の商品を購入いただいたお客様だけにおまけを付けたり、ロイヤルカスタマーのお客様だけ納品書の印刷を出しわける。注文を受け付けた後、瞬時に商品を梱包するなども、自社で物流業務を持っているからこそ可能です。(もちろん、アウトソーシングでも可能です。自社スタッフの時間と外注へのお金、どちらのコストを取るかによります)

物流を差別化し、自社でノウハウを蓄積しながら、お客様への付加価値にするために、やはり最終的には自社で倉庫を借り、保管のレイアウトを組んで、入荷検品を行うスペースと発送作業を行うラインを組み、アルバイトを採用して育成し、できるだけ効率的に物流業務が回るように工夫をしていきたいわけです。

理想としては、事務所の近くに物流倉庫を持っていると良いですね。地方のネットショップなどは、事務所と倉庫が繋がっているところも多く、お客様からの返品商品を在庫に戻したり、交換商品を在庫から取り出したりするのがスムーズにできています。逆に、都心でネットショップを運営している会社などは、倉庫と位置的に離れているため、交換商品の取り寄せに1日2日かかってしまうことも多く、お客様の要望に対応するのに若干のタイムロスが発生してしまいます。

ということで、物流業務のアウトソーシングを、どのタイミングで自社に戻すかについて書いてきました。コストとサービスのふたつの視点から紹介しましたが、在庫管理やミスの防止体制など、アウトソーシング先にはそれなりの高いノウハウがあるので、戻したときに起こり得るリスクも頭に入れながら、判断をしていってください。

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