ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら)
「うわっ!それ言っちゃいますか!」
二子(にこ)社長は驚きました。鬼切社長がはじめて、二子社長の説明に対して反論めいた返しをしてきたからです。
「だって、あまり必要じゃないじゃないですか。コンビニ決済の魅力は、回数に対する課金なわけでしょう。そこに金額ごとの縛りや、一定金額以上の料率を設定したならば、クレジットカード決済をあまり変わらなくなってしまいますよね。ネットショップとしては、コンビニ決済を選ばれるだけ損をするような感じがします」
「まあ、鬼切社長の言うとおりではありますが、あくまでそれはネットショップの出店者側からの理論ですよね。大部分のお客様がクレジットカードの決済を選択されるのに、なんでわざわざコンビニ決済を導入しなければいないんだっていう」
「そうです。そうです。クレジットカード決済については、多少の料率を支払わなくてはいけないにしても、70%程度のお客様が利用されているので仕方がないですよね。事業者側とすれば、銀行振込や郵便振替の方が、さらに嬉しい決済方法ではあるんですが、クレジットカードの方が利用頻度が高いので仕方がないです。でもコンビニ決済は・・」
「うーん・・。鬼切社長、そこはこう考えられないですかね。コンビニ決済が導入されることで、お客様の選択肢が増え、顧客満足に繋がると。ネットショップの運営者側の都合としては、処理の手間も増えますし、利用料金も高くなったりして、マイナスなこともありますが、あくまで顧客満足のためと」
二子社長の意見に、鬼切社長はまだイマイチ納得がいっていない様子です。
「しかし、コンビニ決済って、顧客満足に繋がるんですかね。さっき二子社長が仰っていた、キャリア決済。あれって、携帯電話の請求書にネットショップの利用金額が乗ってくるやつだと思うんですが、あれも果たして必要なのかなぁ、って」
二子社長は、鬼切社長の言い分をじっくり聞いていました。そして、鬼切社長が持論を話終わると、口を開きました。
「確かに、顧客満足に繋がるか、わからないですね。鬼切社長がおっしゃられたことも一理あります。しかし、コンビニ決済やキャリア決済が、顧客満足に繋がらないかもわからないですよね。あくまで、鬼切社長のおっしゃったことは仮説です。いかに一理あるとはいえ」
「二子社長、じゃあ、どうすればいいんですかね?」
「簡単ですよ。やってみればいいんです。クレジットカード決済だけではなく、銀行振込も郵便振替も商品代引も。コンビニ決済もキャリア決済だって、やってみればいいんです。おにぎり水産の笹かまぼこを買ってくれるお客様が、『どんな決済方法を選ぶのか』は、いまのところ私にも鬼切社長にもわかりません。やってみて、数字をとってみればいいんです。それで利用されていないならば、決済方法を無くしてしまえば良いでしょうし、もし決済方法を無くしてしまってお客様が離れたならば、復活させれば良いだけです」
鬼切社長が手のひらをふり、「いやいや、二子社長」と言いながら反論をします。
「もしも、決済方法を変えたことによってお客様が離れてしまったら、そのお客様はもう戻ってきませんよね。そんなリスクを冒す必要はないじゃないですか。いかに検証が必要とはいえ、決済方法を減らすことでプラスの影響が出ることはないですよね。あるとしたら、マイナスの影響しかないのではないかと」
「ほら、やっぱり!」。二子社長は大きな声をあげて、ニヤリと笑いました。
「鬼切社長。鬼切社長のいまの発言が、決済方法の選択肢が多い方が良いって証明してしまったじゃないですか!」
つづきはこちら。