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暗闇の向こうの的に向かってボールを投げると、音が返ってくる。それを聞く【no.0623】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

「『的』は『お客さん』。『ボール』は『施策』。『ボール』を投げとる人間は、『七海はん』。あんたいうわけじゃ。七海はんがポンポコポンポコ、暗闇の向こうの的に向かってボールを投げるわけじゃな」

 猪井氏(いいし)先生の「的当てゲーム理論」の説明が続きます。「インターネットのマーケティングのどこが『的当てゲーム』なのか」。七海さんはイマイチわかりませんでした。

「七海はん、ポカンとした顔しとるな。インターネットのマーケティングが『的当てゲーム』たる理由はここからじゃ。ここまではええよな?」

 ポカンとしている七海さんを心配して、猪井氏先生はやさしく声をかけました。七海さんはポカンとした顔のまま、猪井氏先生の目を見ながら、コクリと頷きました。

「まあ、暗闇の向こうにある的にボールを投げるわけじゃからな。いくらボールを投げる回数に制限がなかったとしても、ずっと投げ続けると疲れるじゃろう。できるだけ早く、的に当たったらええなって思うじゃろう。『的当てゲーム』はな、『音』が返ってくるんじゃ。『ポーン』とか『カーン』とか、『ドスッ』っていうな。この『音』を聞くことが大切なんじゃ」

「その『音』って、的に当たった音っていうことですか?」

 七海さんが質問をしました。

「そうじゃ、この『ポーン』だか『カーン』だか『ドスッ』ゆう音は、全部、暗闇の向こうの的にボールが当たったときに出る音じゃ。的の真ん中に当たると、『カーン』ゆう気持ちのいい音が鳴るわな。的の端っこにあたると『ドスッ』ゆう鈍い音じゃ。的に当たりすらせんと、『スカ』じゃから、音が返ってこん。この『音』を聞くことが、『的当てゲーム』では重要なんじゃ」

 七海さんは猪井氏先生の話をただただ聞いて、時折メモを取っていました。

「つまりな。まず暗闇の向こうにある的をめがけて、ボールを投げてみる。ほしたら、『ポーン』だか『ドスッ』だか『スカ』なのか、暗闇の向こうから音が返ってくる。その音を聞いて、『あー、真ん中はもうちょっと右かな』とか『奥かな』とか『下かな』とか考えるわけじゃな。ほんで、『じゃあ、もう少し力を入れてボールを右上に投げてみよう』とか思うて、また暗闇の向こうにボールを投げるわけじゃ。これが、インターネットのマーケティングゆうもんじゃ」

「うーんと、なんとなくわかってきました。ボールと投げた後の音を聞くことで、次に投げた方が良さそうなボールの予測がしやすくなるってことですよね。それがインターネットのマーケティングだということだと思うんですが、この『音』って何なんですか?展開的には何かの比喩のような・・」

 七海さんは猪井氏先生の話をイラストを使ってメモしながら聞きました。

「七海はん、よく聞いてくれたわ。あんた流石だわ。この『音』っていうのはな、『データ』のことなんじゃ。インターネットのマーケティングではな。『ボールを投げる』つまり何かのアクションを起こすと『データ』が返ってくるんじゃ。そのデータを見て、『的当てゲーム』でいう『的のどこにボールが当たったか』を判断して、次のボールを暗闇に投げるんじゃ。これを繰り返していくことが、インターネットのマーケティングってことじゃな」

「猪井氏先生が『アクセス人数を取れ』っていうのは、そこの理由があるんですね。なんとなくわかってきた気がします。ただ、そのために何をやればいいのかが、イマイチ・・」

「まあ、最初はそうじゃろうな。そこはワシと麻間でフォローしていくからな。そのための3年契約じゃから。インターネットの考え方って、実店舗とは全く違うんじゃ。七海さん、女性の前でこんな例え話は変なんじゃけど、ダイエットの話、してええか?」

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