成功しやすいEコマースって、どんなネットショップ?(前回はこちら)
第1回、第2回のブログで、Eコマース事業を成功させるための6つのポイントを紹介しました。「Eコマース事業の考え方」「ECチームメンバー」「スキル」「商品」「集客」「リソース」の6つです。この6つのポイントがガッチリ噛み合うと、Eコマース事業としてはかなり成功しやすい、もしくは成功が間違いないという状況ができます。
とはいえ、すべての事業者にこの6つのポイントが揃っているわけではありません。「Eコマース事業の考え方」と「リソース」はレベルSだが、「スキル」がレベルBである。「ECチームメンバー」と「商品」と「リソース」はレベルAだが、「Eコマースの考え方」と「集客」がレベルCである。こんなことが普通です。ちなみに、レベルS~Cというのは、この6つのポイントについて弊社が独自に定めたレベル分けです。
では、成功しやすいEコマースとは、どんなネットショップでしょうか。紹介していきたいと思います。
ネットショップの最も成功の確率が高いのは、「リアルの世界でブランドがある小売り」です。デパートや大型ショッピングモールに入っていたり、大都市・ターミナル駅に路面店を構えたりしているブランドの名前を思い浮かべてみてください。それらのブランドは、Eコマース事業をスタートした途端に、ネットショップの売上が立ちます。もしかしたら、ネットショップを開設した初日で「黒字化」するかもしれません。
このような「リアルの世界でブランドがある小売り」は、「Eコマース事業の考え方」「ECチームメンバー」のポイントが弱くても、「スキル」があまり伴わなくても、「商品」「集客」「リソース」の3つのポイントで、Eコマース事業を成功させることができます。当然、「リソース」がレベルSならば、「スキル」を完全外注で補うことが可能です。また、「リアルの世界でブランドがある小売り」は、その時点で「商品」「集客」の2つのポイントが整っているのです。
極端な話、ECサイトを作って、商品を並べておけば、それだけで商品が売れていきます。商品の詳しい説明文は必要ありません。商品の素敵な画像も必要はありません。それはなぜか、「お客様が知っているから」です。ブランドのことはもちろん商品のことも、お客様はすでに知っています。「リアルの世界でブランドがある小売り」が最高に有利なポイントはそこです。自分達が努力をしなくても、お客様の側が動いてくれるわけです。
ですから、「リアルの世界でブランドがある小売り」の会社で、Eコマースにまだ取り組んでいない会社は即ECサイトを立ち上げた方が良いです。Eコマースへの取り組みとして、「事務のおばちゃんがたまに触っている」程度の会社なら、本気でEコマースに取り組むよう、社内の体制を変えた方がいいです。「Eコマースどうするかな~」と悩んでいる、いまこの時点でも、あなたのブランドを知っているお客様がインターネット上を「あのバッグ売ってないのかなぁ~」と探し回っています。
このように、「リアルの世界でブランドがある小売り」はEコマースで最も成功が近いパターンです。なのですが、ひとつ注意しておきたいところがあります。Eコマース事業を長期的に成長させ続けることを考えた場合、「Eコマース事業の考え方」と「ECチームメンバー」の2つを成長させることができるかが勝負を分けることになります。
つまり、「リアルの世界でブランドがある小売り」は、特に努力もせずに売上が立ってしまうので、Eコマース事業に対する考え方や、Eコマース担当メンバーの実力が成長しない可能性があるのです。市場に余裕があれば管理は甘くなり、市場が厳しければ試行錯誤のレベルも上がります。リアルの世界でブランドがあると、どうしても前者に流れていってしまうのです。
ですから、「リアルの世界でブランドがある小売り」こそ、外注に頼りっきりにせず、自社の「Eコマース事業の考え方」と「ECチームメンバー」の成長を育んでいくことが大切になると思います。将来のため、あえて厳しいところに身を置くわけです。
つづきはこちら。