成功しやすいEコマースって、どんなネットショップ?(前回はこちら)
前回はEC事業を成功させるためのポイントとして、「Eコマース事業の考え方」「ECチームメンバー」「スキル」の3つを紹介しました。
四つ目は、「商品」です。商品に差別性があれば、ライバルのネットショップより優位に立つことができます。商品に差別性が生まれるか否かは、詰まるところ「商品を作れるか否か」です。商品企画の機能を自社の組織に作れていれば良いですし、商品製造の工場を持っているなら尚更理想的です。
逆に、すべての商品を仕入れに頼っている完全小売りのEコマースは、当然ながら商品での差別性をつけるのが難しくなります。顧客セグメントを絞ったり、ニッチなコンセプトの専門店にしたり、サービスを差別化することで、成長し続けなくてはいけません。そして、これらは真似されやすく、次から次へとライバルが登場します。やはり「商品が作れる」企業がEC事業では有利です。
五つ目は、「集客」です。もし、すでにリアルの世界で小売りとしてのブランドがあれば、インターネットの世界で成功するのはそう難しくはないはずです。例えば、ユニクロ・エルメス・ABCマート・セブンイレブン等々、このようにリアルでのブランド認知があれば、ユーザー(お客様)の方から「ネットショップで欲しいものが売ってないかな?」というようにネットショップを探してくれます。
他には、すでにリアルのビジネスで顧客リストを抱えている場合。紙通販やカタログ通販、テレビ通販を営んでいる会社などは、大量の顧客リストを持っているはずです。「ECサイトができました!」ということで、顧客リストに対して情報を流せば、早い段階でEコマース事業が回り始めます。リアルでの「認知」がある会社はインターネットでも有利です。これが「ITは強者の武器」と言われる所以です。「良いものが、爆発的・加速的・圧倒的に伸びていく」のがインターネットの世界です。
さて最後、六つ目です。「リソース」です。Eコマース事業の成長により近いのは、すでに母体となるビジネスを営んでいるケースです。しかも、その母体のビジネスの業績が安定していればいるほど、Eコマース事業の成功は近づきます。当然、インターネット専業の事業者を否定しているわけではありません。あくまでも可能性の話です。
Eコマース事業の成長は、極端な曲線を描いていきます。地べたを這うような成果の期間を重ねていくと、どこかのポイントでブレイクを起こし、一気に数字が上がっていきます。そのブレイクポイントを迎えるまでに、どれくらいの「投資」をできるかが重要なんですね。
当然ながら、明日売上が出ないと銀行から資金を調達できないとか、明日利益が出ないと社員に給与が払えないという会社は、なかなか「投資」がしづらくなります。Eコマースは実店舗に比べて「初期コスト」がかからない分、成長までの「運用コスト」がかかるのです。
また、受注から発送までのリードタイムを減らすための在庫確保や、差別性のための商品企画なども資金が必要です。場合によってはインターネット広告を活用して、パワープレーに出なければいけないこともあるでしょう。1回目のアクションで成果が出れば良いですが、それは稀なケースです。2回・3回とPDCAを繰り返しながら成果に近づくと考えれば、リソースの確保は必須ということになります。
以上、「Eコマース事業の考え方」「ECチームメンバー」「スキル」「商品」「集客」「リソース」の6つが、Eコマース事業の成功のためのポイントです。これを踏まえた上で、どんな会社がEコマース事業で成功しやすいか、その話をしていきます。
つづきはこちら。