成功しやすいEコマースって、どんなネットショップ?(前回はこちら)
第1回、第2回のブログで、Eコマース事業を成功させるための6つのポイントを紹介しました。そして前回の第3回では、もっとも成功確率の高いネットショップとして、「リアルの世界でブランドがある小売り」を挙げました。
「リアルの世界でブランドがある小売り」は、ネットショップを立ち上げた瞬間から売上が立ちます。オープン初日で黒字化するかもしれません。なぜならば、ユーザー(お客様)がインターネット上でブランドのEコマースを探しているからです。なので極論すれば、大して魅力的な画像でなくても、大して商品の説明をしなくても、ユーザー(お客様)は商品を購入してくれます。リアルの世界で、すでにその商品を「知っている」からです。
そう考えると、これを「ネットショップの成功」「Eコマース事業の成功」と考えていいのかは甚だ疑問が残ります。
「リアルの世界でブランドがない小売り」がEコマース事業を始めるとき、最初は「ゼロ」からのスタートです。売上はゼロ、アクセスもゼロ、注文件数も当然ながらゼロです。それが、1人のネットショップへのアクセス・1件の注文から始まって、月商が10万円、100万円、500万円、1,000万円、5,000万円と成長していけば、それは「Eコマース事業の成功」と捉えて良いのだと思います。
しかし、「リアルの世界でブランドがある小売り」のネットショップの評価は非常に曖昧です。明確な定義はもちろんありません。リアルの世界での「ブランド力」を図る指標もありません。Eコマース事業として、「いまの成果が果たして適切か、どうなのか」イマイチわからないのです。ここは謙虚に、「成長・成功というのは、前年同月を越え続けることである」と理解し、Eコマース事業のカイゼンをし続けることしかありません。なのですが、そうは上手くいかないものなのですよね。。
課題は「ECチームメンバー」の成長にあります。「ブランド力で勝手に売上が立つ」状況では、どうしても人が育ちにくいのです。これは幸か不幸か「環境」という言葉でまとめるしかありません。「ブランドが無い」会社の人間ほど、生き残るための試行錯誤をしなければいけないわけです。これは必然として、ですよね。
あまりよろしくないのは、「リアルの世界でブランドがある小売り」のネットショップが、WEB制作を外注、集客対策も外注、バックヤードも外注で、運営を回しているパターンです。この場合、Eコマース事業の担当者の仕事は「ディレクション」ということになります。しかし、これが厄介です。Eコマース事業の運営をしたことが無い人が「ディレクション」をやらなければいけない。しかも、ブランド力により「売上が出ている」状態ですから、「今の状態が良いのか悪いのか」すらわからない状態です。
もちろん、予算があり目標も決まっていて、成果を上げなければいけないでしょう。ただ、Eコマース事業を自分で回したことが無い、デジタルマーケティングの原理原則がわからない状態で行う施策は、ロジックの軸がなく、思いつきで一貫性のないものになりがちです。WEB制作、広告代理店の会社は、この手のクライアント担当者にあたると非常にストレスを抱える結果になります。
この手の担当者は「わからない」ことが「わからない」ので、結果的に外注先を「詰めまくる」しか手段がなくなります。「あんたらプロなんだから、どうにかしなさいよ」の一点張りです。弊社はこの手のクライアントを持ったことはないですが(そもそものコンセプトが違うので)、この手のクライアントを持つソリューション企業は大変でしょうねぇ。
やはり、「リアルの世界でブランドがある小売り」でも、まずは「担当者が自分で」ネットショップを運営した方が良いと思います。「急がば回れ」です。
つづきはこちら。