やる気やモチベーションは大切ですが、個人の感情によってパフォーマンスが変わるような状態はあまりよろしくないと思っています。会社組織としては、環境づくりと習慣づけを徹底することによって、「だって、そういうもんだから」の状態をつくり、淡々と仕事をして、一定クオリティのパフォーマンスを残し続けるべきです。100の成果を7割の確率で行うのではなく、70の成果を10割の確率で残し続ける方が価値はあるかなと思うわけです。
ですから、感情にストレスがかかるようなことは、環境づくりや習慣づけで解決できない場合、避けて通って良いと思います。ちょっと前のことなのですが、こんな相談を受けました。
以前、交流会で名刺交換をし、自社の事業内容の紹介をした人に対して、より深く情報交換をしようとアポイントを取ったときのことです。メールの返信は、「一応、●月●日の●時でお願いします。ただし、他に優先順位が高いアポイントが入った場合は会えなくなります。アポイント前にメールをして確認をして下さい」といった内容でした。
こちらか依頼をかけているとはいえ、優先順位が高いアポが入ったらごめんなさい、あなたの方からアポが入ったかの確認をしてください、ということです。私個人としては、礼にかけた対応だと感じました。「だったら、別にいいよ」という話です。私は、「確約できる日にちを聞いて、もし確約できないのならば、また次のいつかでOKではないか」というアドバイスをしました。もしこのままアポイントを決めたとしても、ストレスになるだけだろうと思ったからです。
既得権益が強く絡んでいる業界は別なのかもしれませんが、ストレスがかかっても「その人」と会っておかなければ事業を成長させることはできない、というようなことは基本的ないはずです。むしろ、「この人と会っておかなければ成長できない」「このアポイントを逃すわけにはいけない」「たとえ値切られたとしても、ここで受注をもらわなくては」というような感情は、選択肢の欠如からくる混乱状態によって起こります。つまり、問題は手駒の少なさなのです。
就職活動でも案件獲得でも、ネットショップでの商品販売についても、全て一緒だと思いますが、きちんと手駒に余裕を持っていれば、強気とまでは言わなくとも(強気になる必要もないですし)、相手と対等な立場として意見交換ができるはずです。変にへりくだる必要はないわけですね。だから、今回の相談の件のように、自分にストレスを感じるとか、感情が揺れて淡々と仕事ができない、というような状況になるなら、バシバシ切って良いということです。その分、たくさんの人と会うことが条件ですが。
もちろん、実は自分の考え方のほうがズレていた、というようなこともありえます。また、角の立つような切り方をすると、結果的として自分の方に悪評が返ってくることもあります。心の中では切っておき、表情はニコニコして、頷きながら、無言でフェイドアウトしていくのが良いでしょう。けっして、全員に考え方を理解してもらい、共感を得てもらい、そして仲良くなれるなどとは考えないことです。この「期待」というものも、淡々と仕事を遂行する上で邪魔になることが多い「感情」のひとつ。この期待という「感情」にすがらず、「たくさんの人に会う」という「行動」に考え方のポイントをシフトさせることが大切ですね。
考え方を理解してくれる人が1人いれば、必ず2人目もいます。3人目、4人目もいるはずです。世界は自分が思っているより、はるかに広い。日本だって、はるかに広い。ということを、しっかり頭に入れておくことです。足りないのは、「数」です。「数」が少ないのは、「汗」が少ないからです。(自分に対しても‥!)
おわり。