ウェブサイトの改善案において、「グローバルナビの並び方をこう変えた方がいい」とか、「お問い合わせはこちらのバナーをフッターに入れ、全ページに表示させた方がいい」とか、「見積り依頼バナーの色が目立たないから、違う色に変えた方がいい」とか、そんな意見が多く出てきます。
ブレストで改善案を出す場合、「アイデアに対して一切の否定をしない」ことが前提条件ですし、1%1%着実に成果を上げていくためにはこの手の地道な「デザインとレイアウト」の改善が必要不可欠ではあります。なので、そこに対して意欲を削ぐような言い方をしたくはないのですが、本質的にいえば、その手の改善は優先順位として「うしろ」ということになります。
なぜなら、サービスに興味を持ったユーザーは、「自らウェブサイト内を回遊し、自ら必要な情報を探してくれるようになる」からです。
多くのウェブサイトの場合、改善のポイントは「デザインとレイアウト」ではありません。サービスに興味を持ったユーザーは、自ら「グローバルナビ」を理解し、「お問い合わせはこちら」のバナーと「見積り依頼」のバナーを見つけてくれるのです。問題は、ウェブサイトに訪れたユーザーに、いかにして「サービスに興味を持ってもらうか」というところにあります。潜在顧客を見込顧客化することができるか、というところです。
ウェブサイトは、「興味があるユーザーにもっと興味を持ってもらう」より、「興味のない(ニュートラルな状態の)ユーザーに興味をもってもらう」ための改善を施すことが必要です。そして、現在のウェブサイトの多くに欠けているのが後者です。どのウェブサイトも「ユーザーがある程度サービスに興味を持っている(もしくはサービスを知っている)こと」を前提とした見せ方になっています。
「興味のないユーザー(ニュートラルな状態の)」に「興味を持ってもらう」ためにはどうしたらいいか、という視点からウェブサイトの改善案を話し合ってみましょう。
このブログでも再三書いているように、ニュートラルなユーザーの「課題」にジャストフィットするコンテンツをウェブサイトに拡充し続けることを大前提として、さらに知っておかなければいけない事実があります。ニュートラルなユーザーは、ウェブサイトを「一瞬」しか見ないということです。ユーザーは「一瞬」でウェブサイト(ページ)を「続けてみるべきか、他のサイト(ページ)にいくべきか」を判断します。ここは自分がインターネットを利用するときの行動パターンを想像してもらえるとわかりやすいと思います。
そうなるとやはり重要なのが、ウェブサイト(ページ)のファーストビューです。ファーストビューでニュートラルなユーザーが抱えている「課題解決」にヒットさせることができるかが重要になります。ユーザーのアンテナに引っかかるか否かです。ページのタイトルやキャッチコピーを、アンテナにかかるように工夫しなければいけません。
ここで運よくユーザーのアンテナに引っかかり、「どんなサービスだろう?ページをよく見てみるか」となった場合、次の課題になるのが、「いかにページを読み進めてもらうか」になります。イラストや写真を活用できるページは比較的ページを見続けてもらいやすいと思います。しかし、イラストや写真を中心にしていても、テキストでのサービスの説明は必要不可欠です。もちろん、テキストの必要性は検索対策的な側面もあります。
「いかに興味をもってもらうか」→「いかにページを読み進めてもらうか」という視点で考えたとき、多くのウェブサイトの傾向として「テキスト文字」が小さ過ぎます。「興味を持っているユーザー」はじっくり読んでくれますが、ニュートラルなユーザーは小さな文字を読みません。これはごくごく簡単な改善です。ウェブサイトの文字サイズを大きくすればいいのです。
またこちらも多くのウェブサイトの傾向として、「専門用語」や「業界的な言い回し」が多すぎます。これは自らが自分の業界にどっぷり浸かっていることの弊害です。ウェブサイトを運営する側は業界のプロフェッショナルですが、ユーザー側はまず素人です。サービスの理解を深め、興味を持ってもらうためには、ユーザーにイメージをしてもらわなけければいけません。テキストの表現を改善する必要性があります。「バカにしてるんじゃないの?」と思うくらい、わかりやすくです。
というように、3つほど例を挙げましたが、このように「興味があるユーザーにもっと興味を持ってもらう」改善と「興味のない(ニュートラルな状態の)ユーザーに興味をもってもらう」改善は異なります。圧倒的に欠けやすい後者を意識して、運用改善を進めていくことがインターネットマーケティングを成長させる上で大切です。
おわり。