(前回はこちら)
データを活用して廃棄率75%減を実現した、スシローのマーケティングを解明しよう。第三回です。
前回は、回転寿司システムを「構築」「運用」のふたつのフェイズに分けるということ。「構築」の段階に必要な商品マスターについての説明をしました。
*寿司と皿を紐づける「皿データ」
商品データと共に必要なのが、皿データです。これは回転レーンを流れる寿司と、皿を紐づけるために必要になります。まぐろやイカ、たこ、イクラ、そしてシャリにICチップをつけることはできません。寿司をのせる皿にICチップを付け、廃棄の管理をすることになります。もし食べられるICチップがあれば、そっとシャリに忍び込ませることもできます。
寿司ネタと皿を紐づける方法は2つあります。1つ目は、皿ごとに乗せる寿司ネタを先に決めておく方法。つまり、寿司ネタごとの専用の皿を用意しておくということです。2つ目は、寿司ネタを乗せた後に、皿(ICチップ)に対して寿司ネタを定義する方法です。
前者の場合、皿と寿司ネタを組み合わせて回転レーンに乗せるという単純作業になります。しかし、寿司ネタ種類分の皿を用意しておくというデメリットがあります。後者は皿と寿司ネタをレーンに乗せる前に、この2つを紐づける作業が必要になります。前者は「皿と寿司ネタを組み合わせる」という手作業が必要になります。後者はシステムで「皿と寿司ネタとを紐づけるボタンを押す」作業が必要になります。
*第三の手「画像認証」のシステム
手間とコストを考えたとき、おそらく後者の方法が選択されます。寿司ネタ分の種類、皿を用意しておくのは大変です。仮に特定の皿が出すぎたときに対応ができなくなります。もちろん、その非常事態ですらデータでマーケティングしてしまう可能性もありますが、それでも柔軟なのは後者の方です。
ただ前者・後者の方法とも、「人による選択作業」が関わってきます。当然、ミスが起こる可能性があるのです。選ぶという手間のコストももちろんあります。そこで、第三の手として考えられるのが、画像認証のシステムです。顔認証と似たようなシステムを使います。回転レーンに乗った寿司ネタの画像を撮り、画像データを商品マスターと照合します。その結果、皿のICチップと乗っている寿司ネタが紐づけられる仕組みです。
*人為的なミスをいかにしてカバーするか
寿司ネタの画像認証が課題と思われますが、クリアできれば実現が可能です。もしくは、体温計的なものを使って、ネタを識別するシステムがあるのかもしれません。このあたりはうかがい知れない部分です。いずれにせよ人為的なミスを防ぐために、デジタルな仕組みが考えられそうです。
握る寿司ネタとその数をマーケティングデータとして抽出するシステム。皿のICチップに寿司ネタを紐づけるシステム。このふたつ連動して皿に寿司ネタを乗せていく、みたいな流れなのではないかと思います。しかし、これでも「ネタを間違えて皿に置いてしまう」というミスが起こりそうです。皿と寿司ネタがセットになった後に、データの紐づけをした方が安全だとは思います。ここまで紹介した方法の派生か、組み合わせダブルチェックがあるのかもしれません。
つづきはこちら。
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