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実店舗は、あるもののからお客様が選んでくれる。ネットはそうではない【no.0877】

 ECMJのクライアントには、元々実店舗をやられていてインターネットに販路を拡大しているというクライアントさんも何社かおられます。その中の1社さんから、先日面白い話をお聞きしました。

 実店舗は、あるものからお客様が選んでくれる・・というのです。

 ネットショップを軸に事業を展開している事業者には、なかなかわからないことではないでしょうか。私自身もインターネットを基点にして、実店舗やリアルビジネスとの違いを考えているので、ハッとする部分でした。これを話してくれたクライアントさんとしても、私がここまで驚くとは思っていなかったようです。

 実店舗は、あるものからお客様が選んでくれる。よく考えれば当たり前の話です。

 この会社さんは主にお土産品を取り扱っているお店を営んでいます。家電やブランド品のように、特にお目当ての商品がある場合は「お客様があるものから選ぶ」というケースは少ないでしょうが、お土産品を取り扱っているお店ですから、ほとんどの場合「お客様があるものから選んで」購入をしてくれます。お客様にとって、お店に並んでいる商品が自分の選択できるすべてだからです。

 実店舗はネットショップのように、「来店したけれど買わなかったお客様」をデータで測ることができません。また、「商品ページを見たけれど、購入しなかったお客様」「売り切れにも関わらず、商品ページを閲覧してくれたお客様」のデータも見ることができません。実店舗で確認ができるのは、お客様がレジに商品を持ってきてくれて、購入してくれたデータだけです。

 顕在化していないニーズが実店舗にも隠れている、ということです。私が話を聞いたこのクライアントの担当者さんは、元々実店舗を担当していて現在はネットショップを担当しています。だからこそ、実店舗のさらなる可能性も感じておられるのではないでしょうか。

 たとえ商品の在庫がなくても、商品のページは残る。これも実店舗とネットショップの大きな違いです。実店舗では在庫がない商品はお客様にとって存在しない商品になりえます。ネットショップでは在庫がなくてもページがあれば、お客様にとって存在する商品です。もちろんページを落すことはできますが、ページを表に出しておくことで再入荷の可能性を伝えることもできます。

 お客様の欲しい商品の在庫がなければ、お客様はすぐに他のネットショップに探しにいってしまう。これも実店舗とネットショップの大きな違いでしょう。実店舗であれば、そこに商圏があり限られた店舗が競合となりますが、ネットショップには商圏はなく全国のネットショップが競合となります。お客様は「あるものから選ぶ」のではなく「欲しいものを選ぶ」という傾向がより強まるのです。

 売れ筋商品の在庫管理、ニーズがあると思われる商品の在庫管理はネットショップにとって最重要な課題です。ネットショップでは売れ筋商品がお客様を集客するための導線の役割を果たしていることが多いですから、「売上とアクセス」という二重の意味で在庫管理は欠かせません。

 それと同時に、ネットショップの在庫管理の考え方は実店舗というリアルのマーケティングも変えていける可能性があるということです。実店舗とネットショップの売れ筋は異なることが多いですが、「実店舗にあるものの中からお客様に選んでもらえている」ことに満足せず、「お客様が欲しい商品を探し、在庫を絶やさない」ことが大切なのではないでしょうか。

 まだまだ実店舗はネットショップのようなデジタルデータを取得することはできません。ただ、デジタルマーケティングでの学びをリアルビジネスに持ち込むことはできます。「リアルとネットの融合」への一歩前進です。

 おわり。

 

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