先日、縁あって中小企業基盤整備機構(中小機構)さん主催の「ECフェス2015」で講演をさせていただきました。
この日はあいにくの雨・・というか、台風。早朝から夜中まで、雨が降ったりやんだり、スコールのような豪雨になることもしばしば・・という日でした。運悪くそんな天気になってしまったこともあり、やはりイベントへの出足も想定よりも減ってしまったようです。「よりによって、なんでこんな日に・・!」という感じでしたが、自然はコントロールできないですからね。仕方がないことです。
そんな中でも、担当させてもらった「実践講座」は満員御礼となりました。40名~50名くらいの皆さんが真剣に私の話を聞いて下さいました。過去にも数回、講演活動が台風に当たったことがあるのですが、このような「悪天候のとき」って、すごく聴講者の皆さんの「真剣度」が高いんですよね。なので、「天候が悪い」のは一見悪いことのように思えますが、私は「悪天候」の講演が嫌いではありません。どちらかというと好きです。
天候が悪いときというのは、「今日、絶対に聞きたい」という方が来てくれるんですね。逆にいえば、「天気も悪いし、また今度でいいか」と思っている方は来ないわけです。これが、非常にクオリティが高い空間をつくる材料になります。
講演というのはキャッチボールのようなものです。講演者と聴講者を、「一方的に話している人」「一方的に聞いている人」というように「能動と受動」の関係に分けることもできますが、そうではないと思っています。講演者は聴講者の皆さんが思っている以上に、皆さんの反応を見ています。(少なくとも私はそうです)。聴講者の皆さんが真剣に話を聞いてくれていると、講演者と「場」に良い緊張感が生まれます。その緊張感が講演者の講演をより良いものに変えていくのです。それに合わせて、聴講者の理解度もグングンと上がっていきます。
良い講演というのは、講演者だけがつくるものではないんです。講演者と聴講者の皆さんの相乗効果によってつくられていくものなのです。比較的、人前で話す機会をいただくことが多い私は、自身の経験から自信をもってそういえます。
そう考えると、天候の悪い日の講演が「良い講演」になる可能性が高い理由も、何だか当たっている気がしてきます。天候の悪い中でも講演に足を運んでくれた方は、イベントに対して目的意識があり、「いま課題を解決したい」と強く思っている方なのだと思います。ですから、話を真剣に聞くわけですし、その後講座で学んだことを現場の実践に繋げてくれる可能性も高いのだと思います。
もちろん、足を運ばなかった方を否定しているのではありません。各々、参加できない事情はあったと思いますし、こういうものって「自分の意識とのタイミング」という部分も大きいと思います。イベントに来場された方は、今回の講演に対して目的意識があり、なおかつタイミングが合った方なのだと思います。これもこれで、「縁」といえるのかもしれません。
イベント終了後に懇親会がありました。私も懇親会に参加させてもらい、中小機構の皆さんともお話をさせていただきました。その中で、やはり同じように「こういうときでも、参加してくれる方。こういうときでも、最後までいてくれる方を大切にしなければいけないですね」という話になりました。
次回のECフェスがいつになるかはわからないですが、定期的に開催されるのだと思います。今度はぜひ、聴講者側としてイベントを盛り上げることができればいいなと考えながら帰路につきました。
おわり。
本記事の著者へのお問い合わせはinfo@ecmj.co.jpまで。