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大量のビッグデータから似た実績を探し、「着地」を読む。 【no.0148】

(前回のブログを読まれていない方は、まずこちらからお読みください)

 データを活用して廃棄率75%減を実現した、スシローのデータマーケティングを解明しよう、という話の第十一回です。

 前回は、お客様の需要予測の考え方を書きました。ネットショップでいえば、1日の注文件数の流れを見ていくようなものだという話です。注文件数の傾向を読めるようになると、その日の「着地」が予測できるようになります。この概念を活用して、回転寿司の需要予測(つまり、お客様が食べるだろう量の予測)をしていくのです。

 そしてここで、前回のブログでも画像に使い、今回も使っているトップの画像を見てください。iPad miniに手書きで書いた図のため、ラフで申し訳ありません。この図は、横軸にお客様の回転寿司店舗の「滞在時間」を表しています。縦軸はありません。お客様が入店した時間(テーブル・席についた時間)を「入店」として仕切っています。この「入店」がお客様の食べ始めるスタートです。【注:現在は画像がないため想像されてみてください】

 そして、青い点がポツポツと打ってありますね。これが、お客様が回転寿司の、寿司・うどん・そば・揚げ物・刺身などを食べたポイントです。食べたと言っても、回転レーンから皿を取った、もしくは注文パネルで個別に注文した皿を受け取ったポイントです。実際、すぐに口にしたかはわかりません。

 お客様が回転寿司に入店します。すぐに、もしくは少し待って、お客様が店舗のスタッフによって席へと通されます。座ってひと息、上着を脱いだり、お茶を入れたりして、回転寿司を食べ始めるまでに2-3分のタイムラグがあります。そして、食事がはじまります。図のように、最初の数分でポツポツポツと、寿司を勢いよく食べていきます。それから食べるスピードがだんだん遅くなっていき、次第にひと皿ひと皿と時間をおいて、食べるようになります。そしてどこかで、寿司を食べ終え、すぐにもしくはしばらく時間があって席を立つ、ということになります。

 これは前回のECMJコラムで書いたネットショップの着地予測と全く同じです。お客様が食べた皿「=注文件数」、食べた時間=「注文時間」、お客様の食べた量つまり「食パワー」が「=売上」ということになります。スシローのデータマーケティングは40億のデータレコードを使って解析しているといいます。40億のデータレコード、そして日々追加されるレコードから、まずはお客様の性別や年代という属性をセグメントし、さらにその中から、似たような食事のパターンをしているデータレコードを探していくわけです。そうすると、お客様の着地が読めるようになります。これが「需要予測」ということですね。

 「廃棄率75%」のために「廃棄」するものは、回転レーンを回っている回転寿司です。なので、実際の需要予測をする場合は、この滞在時間と皿を受け取ったプロットの図の中に、注文パネルから個別注文した皿のデータを入れこむことになります。イメージとしては、図の青い点のプロットのうち、個別注文したものを赤い点のプロットに変えれば良さそうです。青い点の需要に対してだけ、需要を読んで回転レーンに皿を流していけば良いわけです。

 これで膨大なビッグデータから需要予測をしていくロジックを解明できてきたかと思います。しかし、あくまでこの時点で想像できるのはお客様が「どれくらいの量の食事を必要にしているか」というところであり、「廃棄率75%減」を達成するためにはチャレンジしなくてはいけない課題があります。お客様の食事量に対して、「どんなネタの寿司を回転レーンに流すか?」です。ここを予測してこそ、「廃棄率75%」に近づくことができます。

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