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地図を求めるのではなく、コンパスを持とう。 【no.0135】

 今日は「データを活用するということ」について書きます。

 一度でも弊社のセミナー兼説明会に参加された方、また、弊社のクライアントの皆さんは良くご存じかと思うのですが、弊社のコンサルティングの幹は「データを活用する」というところにあります。ネットショップを展開していく戦略を立案するとか、商品ページの具体的な改善案を提示するとか、ネットショップにおける業務を数日間の研修でおこなうとかが幹ではありません。「データの活用」を習慣化することが根幹です

 では、なぜデータを活用しなければいけないのか、です。

 企業にとって、もっとも不幸なこととは何でしょうか。企業という部分を、経営者と表現しても、組織と表現しても、社員と表現しても同じことです。果たして、悩ましいのは売上があがらないことでしょうか。結果が出ないことでしょうか。株価が上がらないことでしょうか。

 本当に不幸なことは「わからない」ことです。売上が低いことでも、結果が出ないことでも、株価が低いことでもありません。たとえ、会社が赤字を続けていたとしても、その「理由」がわかるならば、「改善」をするチャンスはあるということなのです。もっとも不幸なのは、「わからない」ことなのです。わからなければ、どんな画も描くことはできません。

 今日している仕事がどんな成果に結びついているのかがわからない。どれくらい成果に結びついているのかがわからない。そもそも成果に結びついているのかもわからない。逆に、なぜ成果が出ないのかがわからない。売上はあがっているが、なぜ売上があがっているかがわからない、という場合もあります。なぜ売上があがっているのかがわからなければ、市場環境の変化とともに転落の道を辿ることになります

 営業の売上があがらない社員がいます。ミーティングでは上司に、「売上をあげろ!」と怒鳴られます。でも、売上のあげ方がわかりません。上司もそれを教えられません。わからなければ、不幸です。自分の経験という名の勘を働かせて、ただ長い時間、運よくどこかで成果につながるのを待ち続け、仕事に時間を使っていくことになってしいます

 データは、単に結果を示すものではありません。データはコンパスだと思ってください。昨今のビッグデータブームにより、データを宝の地図だと勘違いしている人がいるようですが、データはコンパスです。企業や経営者、組織や社員が、日々おこなっている業務の成果を「定量化」してくれるコンパスです。このコンパスが、会社が向かっている方向が正しいかを指し示してくれます。

 私はいま、1から10までの数字のうち、どれかを頭の中に浮かべています。その数字を当ててください。「7!」「違います。7より下です」「3!」「違います。3より上です」「5!」「違います。5より上です」「6!」「正解です!」。これがデータを活用するということです。この「7!」というのが、企業が日々おこなっているサービスです。「違います。7より下です」というのが、サービスに対するデータです。データは宝の地図ではありません。いきなり「6!」を当てることはできないのです。データを活用することとは、「検証」をすることなのです

 数字当てゲームでは、「7!」「3!」「5!」など、アプローチが明確ですが、企業の日々の業務においては、こんなに明確ではありません。経験と勘と、そして気合いにより、「良さそう」「けっこう良さそう」「すごく良さそう」の3パターンくらいから、日々の施策を選択していくことになります。では、「けっこう良さそう」と「すごく良さそう」はどれくらい違うんですか?両方やった方がいいですか?片方でしょうか?

 何をやればいいかは誰にも答えられません。やってみないとわかりません。この「良さそう」「けっこう良さそう」「すごく良さそう」が「定性的」というものです。しかし、やればいいことはわからなくても、データというコンパスを活用することで「やったことがどれくらい良かった」は「定量的」に知ることができます。このデータというコンパスを習慣として活用できるか否かが、これからの時代の勝敗のカギを握るわけです。

 地図を求めるのではなく、コンパスを持とう。やることを求めるのではなく、やったことをデータで知ろう。そうすれば自ずと、次にやることが見えてきます。

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