「お客様がどのタイミングで何を食べたか」を取得する。 (前回はこちらからお読みください)
データを活用して廃棄率75%減を実現したスシローのデータマーケティングを解明しよう。第四回です。
*「お客様がどのタイミングで何を食べたか」のデータ
前回は、寿司と皿のデータを紐づけるシステムについて書きました。自動廃棄を実現するとき、寿司ではなく皿を判断して廃棄をするということですね。なぜなら寿司を乗せている皿に、ICチップを付属させているからです。センサーで寿司を判断する仕組みができれば、ICチップは必要なくなりそうですね。いかにして流れている寿司をデータで判断できるようにするかという話でした。
さて、商品と皿のデータと紐づけシステムを考えたところでいよいよデータの取得です。
廃棄率75%減を実現する。回転寿司の需要予測を実現する。そのためには、「お客様がどのタイミングで何を食べたか」のデータが欠かせません。廃棄率75%減は、あくまで回転レーンに寿司を流してお客様の需要を取り込みながら、なおかつ廃棄率を減らすということです。
もし、廃棄率を100%減にしたいなら「回転レーンに寿司を流さない」ことで実現可能です。しかし、これではお客様の需要を取り込めていないことになります。売上減にもつながってしまうことでしょう。需要に対しての供給を保ちつつ廃棄を出さないということがテーマです。バランス感覚なのですね。
*「お客様が食べた」データは注文データ
では「お客様がどのタイミングで何を食べたか」のデータを整理していきます。つまり、注文データです。注文データとして取得するものを並べてみます。
・注文ID:お客様の注文毎にレコードに追加されるデータを識別する固有のID。
・顧客ID:仮に会員カードがあった場合に、来店時にログインができる仕組み。これが実現できると戦略上非常に有利なので、後程説明します。
・テーブルID:お客様が座ったテーブル番号。顧客IDがない場合は、テーブルIDを使って「どのお客様がどの寿司を食べたか」を集計する。
・座席ID:お客様が座った席番号。店舗内のカウンターにお客様が座った場合に使用。
※テーブルIDと座席IDはまとめて「位置ID」としてしまった方がスムーズかもしれない。テーブルや座席毎にある注文パネルの番号を「位置ID」として設定する。
・商品ID:お客様が食べた商品のID。回転レーンから取った寿司だけではなく、注文パネルを使って個別に注文した寿司も含まれる。
*基本は1レコード1皿としてデータを取得
・個別注文フラグ:注文パネルを使った個別注文をした場合にデータベースのフラグにチェックが入る。チェックが入らない寿司については、回転レーンから取った寿司とみなす。
・注文時間:注文パネルを使った個別注文の場合に、注文した時間。別途配達時間のデータを取ることによって、注文から配達までの時間が計算できる。今回のテーマからはズレるが、データを取っておくと改善に役立つ。
・配達時間:注文時間の説明内容に同じ。個別注文商品をテーブルに届けた時間。実際に食べたタイミングとも紐づく。
・回転レーンから取った時間:お客様が寿司を回転レーンから取った時間。言葉としてどう表現すればいいかがわからなかったので「回転レーンから取った時間」でご容赦ください。
他にも、同一の寿司を注文した場合(例えば、まぐろ4皿とか)、「皿数」というデータ項目を設定することができます。ただ今回は、回転レーンから取る寿司がテーマなので、1レコード1皿としてデータを取得することを考えます。
また個別注文のデータ履歴は必要なさそうな気がします。ただこのデータを取ることでお客様1グループあたり「どのくらいの皿を食べるか」「食べる皿のうち、回転レーンから取る比率はどのくらいなのか」を知ることができます。ここは活用していきましょう。
つづきはこちら。
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