いわずもがな商売は商品が命です。(前回はこちら)
「仕入れについて考える」の最終回になります。
ここまで、私の知っている範囲のバイイングの知識について書いてきましたが、バイヤーをやっている方からすると、かなり物足りない情報だったのではないかと思います。ECMJがコンサルティングをおこなう場合、基本的には販売する商材が決まっているケースがほとんどです。仕入れというのは、業界別にしきたりが決まっているPDCAの「DO」の部分であり、ここは社内の専門家の方と一緒に改善点を考えていきます。
仕入れについて、コンサルタントがアドバイスをするところがあるとすれば、PDCAの「P」と「C」です。「PLAN=戦略」「CHECK=評価」というところになりますが、「実行と成果管理の方法」といった方が近いかもしれません。
仕入れについて、このような管理エクセルを作成するのはどうでしょうか。最終回はそんな提案です。
商品をネットショップに掲載するときの流れです。ここまで書いてきたとおり、まず商品の仕入先・取引先を探し、その仕入先・取引先が持つ商品群の中から、ネットショップのコンセプト・戦略・販売スケジュールに合った商品を仕入れ、発売していきます。通常、仕入先が1社で、仕入れる商品が1商品、その1商品だけを徹底的に販売して売上月商1億円、というようなことはありません。(あるとすれば、健康食品・美容商材系)
複数の仕入先を持ち、多くの仕入れ候補商品をピックアップして、ネットショップのコンセプト・戦略・販売スケジュールに合わせて商品を仕入れ、WEBサイトにアップし、販売をしていきます。たとえば、仕入先が10社、仕入れ候補商品が10社×500商品で5,000商品、夏の新作で発売する予定なのがそのうちの100商品、メインになるのがさらにそのうちの10商品、というように、です。
100発100中で1点の仕入先と1点の商品を選び、当たり(ヒット商品)を出せるバイヤーはいません。たくさんの選択肢の中から、データと直感を使って、いくつかの商品を選択する。それでも、当たりが出るのは数パーセントだと思います。ほとんどはハズすのです。となると、まず必要なのは「数」ということになります。「どんな仕入先を探すが」「どんな商品を発売したいか」「どうやったら売れそうか」を考えるのと同時に、「仕入先」と「仕入れ候補商品」を継続して増やしていく仕組みが必要になります。
ここで、「仕入れ管理エクセル」の登場です。バイヤーの仕事として、例えば、「仕入れ先」のシートを、ひと月に2行増やすことが縛りになります。つまり、ひと月に2社、新しい仕入先を増やすということです。次に、「仕入れ候補商品」のシートをひと月に30行増やすことが縛りになります。こちらも同様に、仕入れ候補の商品をひと月に30商品は増やす、ということです。ひと月に2社、ひと月に30商品というのはあくまでも例です。数字は会社の目標に合った形で構いません。
大切なのは、毎月「2社」「30商品」と決めること。そして、きちんと「仕入れ管理エクセル」をつけ、データという目に見える形で管理をすることです。大規模な展示会のある月ならば、2社以上の取引先が見つかるかもしれません。新作の発売時期ならば、30商品以上の候補を集めることもたやすいでしょう。肝心なのは、毎月継続して「2社」「30商品」という目標を追っていくことです。「2社」探せない時期に、どうやってその2社を探すか。新作アイテムの出ない時期に、いかに「30商品」を増やすか。この試行錯誤が会社、そして人財のレベルアップにつながります。
アプローチを考える前に、まずは成果管理をおこなうエクセルを作成すること。商品企画・商材開拓、「仕入れ」でもここだけは変わらない原理原則だと思います。
おわり。