ロイヤルティを払ってまでショッピングモールに出店する意味とは。(前回はこちら)
鬼切社長には、いままでにないくらい二子(にこ)社長が眩しく見えました。それは、二子社長が年齢の割に額がオープンだから、だけではありませんでした。おにぎり水産の会議室がLED照明になったから、でもありませんでした。
*地図をもつよりコンパスを持て
「鬼切社長、地図をもつよりコンパスを持て、ですよ。自分達だけではなく、市場と競合は変わっていきます。特に、インターネットは移り変わりの早い業界です。地図はすぐに使いものにならなくなってしまいます。コンパスを使いこなせる力を養っていきましょう。猪井氏(いいし)先生の教える原理原則は素晴らしいですよ」
鬼切社長は、なぜ猪井氏先生が素晴らしいコンサルタントなのかわかった気がしました。まだまだ、猪井氏先生に多くのことを学んだわけではありません。しかし二子社長の話から、なぜ価値があるのかを感じることができたからです。
「じゃあ、続けましょうか。システム利用料の話でしたね。オンラインショップの出店費用とロイヤルティの話でした」
二子社長の言葉で、鬼切社長の頭の中に浮かんでいた猪井氏先生の像はパッと消えます。「売上年商1億円。利益2,000万円」と「商品原価と物流費で既に90%」。そんな現実の数字が浮かびました。二子社長は続けます。
*自社サイトは基本的にロイヤルティがかからない
「出店費用、ロイヤルティともに無料のものがあるとお話ししました。有料のものだと、出店費用の相場として月額1万円から5万円。ロイヤルティは、仮にモールを利用するなら5%程度を見込んでおけばいいでしょう。5%程度と曖昧な表現になりますが、オンラインショップでの取引額や出店のプランによって、ロイヤルティの課金率(パーセンテージ)が変わります」
「二子社長、ショッピングモールの場合はロイヤルティがかかる。とのことですが、自社サイトでオンラインショップをやる場合はどうなんですかね。そちらも5%くらいかかるもんなんですか?」
「いい質問です。自社サイトは、取引額に対するロイヤルティがかからないシステムがほとんどです。その点で言えば、自社サイトの方が経費がかからないと言えますね。ロイヤルティが5%であれば、年商1億円の目標に対して500万円の支払いになります。これがあるのとないのでは、大きいです」
「となると、ショッピングモールに出店することの意味は何なんでしょう。ロイヤルティがあるならば、自社サイトの選択しかないような気がするのですが・・」
*ロイヤルティのこの5%をどう読むか
「鬼切社長、そこも先ほどお話ししたマーケティング戦略に関わる部分です。モールは出店者からロイヤルティをもらう分、お客様を集めてくる責任を持っています。これは、例えば、百貨店、デパートと同じです。伊勢丹としてお客様を集める、高島屋としてお客様を集めているわけです。デパートの出店者も、ロイヤルティのようなものをデパート側に支払っていますしね。理屈としてはそれと同じです」
「ということは自社サイトならば、そこは自分達で作らなきゃいけないわけですね」
「鬼切社長、その通りです。もちろんモールに出店したとて、必ずお客様がショップに来るわけではありません。ただお客様の集まる場に入り込めるのは確かですよね。自社サイトは路面店ですから、自分達だけで宣伝をしなくてはいけない。ロイヤルティのこの5%をどう読むか、これもマーケティング戦略に関わることですね」
鬼切社長は心底納得し、後光が強すぎて二子社長の姿が見えなくなりました。
つづきはこちら。
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