著者:石田 麻琴

ユニクロの「強み」って何でしょう‥?【no.0088】

 ユニクロの「強み」って何でしょう‥?(2013年12月のリライトです)

私が聞いた「ユニクロの強み」とは‥!?

 先日のセミナーの講演の懇親会でとても勉強になる話を聞きました。ということで、今回のECMJコラムはそのお話の共有。

 セミナー講演自体はデータ活用の話です。取得・集計したマーケティングデータをいかにオペレーションに落とし込んでいくか。そのセミナーの中で、私が人づてに聞いた「ユニクロの強み」についてお伝えしました。以前、ユニクロの非常に近くにいた方から聞いた話でした。

 「石田さん、ユニクロの強みって何だか知っていますか?」。その方と食事をしているときに質問を受けました。それはもう6年ほど昔のことです。「商品力ですかねぇ~?それともプロモーション力?店舗デザインも良いですよね?」。そんな感じで、私は曖昧に答えました。「様々あるのですが、一番の強みは『売れるものを最大限に売る』ことなんですよ」。当時の私には、『売れるものを最大限に売る』の意味が、正直良くわかりませんでした。

「売れるものを最大限に売る」という強み‥!?

 皆さんがユニクロを知ったきっかけは何ですか?。そう質問すると、「フリース」もしくは「ヒートテック」と答える人が多いと思います。特に、「フリース」の人気は完全な社会現象でした。それまで、他のお安めカジュアル洋服店と同列で扱われていたユニクロ。そのユニクロが一気にブランド化した商品、それが「フリース」でした。店舗では、在庫が入るとすぐに売り切れ。そして、棚に陳列している間に売り切れ。さらにテレビCMや新聞チラシを入れると、当日に売り切れ。というように、とんでもない売れ方だったようです。私も2つほどユニクロのフリースを持っていました。

 「売れるものを最大限に売る」を考えると、ユニクロはただヒット商品を作り出し、在庫を作り続けていたわけじゃないことが想像できます。まずは、数ある商品群の中からより売れそうな商品を見つけ出すこと。そして、プロモーションや店舗レイアウトの変更などの施策を実践したときに販売数がどれくらい動くか、それを「定量的」に判断できているということです。この「定量的」な判断が、『売れるものを最大限に売る』強みを生み出すわけです。

 「フリースって何だか比較的売れているよね・・」。「定性的」な判断しかでないと、『売れるものを最大限に売る』強みはでき上がらない。という話をセミナーでしたところ、その後の懇親会で聞いた話。

シンガポール第一号店が目標達成、柳井社長の反応は‥!?

 シンガポールでユニクロが新規店舗をオープンさせた。現地の第一号店です。オープンと同時にお客様が押し寄せ、売り切れ商品も続出。購入できないお客様もたくさんいるほど。そして、予測していた売上をはるかに超えた実績が出た。シンガポールの責任者が意気揚々と柳井社長に報告に行ったようなのです。なぜなら、目標金額を超える結果が出たのだから、褒められると思いますよね。しかし、柳井社長はその責任者を叱ったらしいんです。それはなぜか?

 「何で2店舗同時にオープンさせなかったんだ!」と怒ったというんですね。

 おそらくシンガポール出店に際して、成果を「定量的」に予測できていなかった。それに対して、責任者に怒ったんだと思われるのですね。『売れるものを最大限に売る』ことが強み。であるなら、なぜ「2店舗同時オープン」の選択ができなかったのか、というわけです。実績がない上での責任者の決断だったと思うので、気の毒な要求ではあります。しかし、それくらい「定量的」な判断にこだわっているという話だと思いました。

 あともう一つ、なるほどと思った話があるのだけれども、それはまた次の機会に。

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