サイトアイコン ECMJ

「面を広げる」ことと「掘り下げる」ことの違い。 【no.0103】

 「面を広げる」ことと「掘り下げる」ことの違い。 について書いていきます。

 前回のコラムでは、マイケル・ポーターの「戦略とは」を基にご紹介しました。事業の本質的な課題は「わからない」ではなく「続けられない」ことです。続けるとはつまり「掘り下げる」こと。ひとつの信念を徹底的に掘り下げていく。しかし人は「面を広げる」ことを求めてしまう。それをしないことが「戦略」です。

Eコマース事業も「掘り下げる」ことが大切

 「掘り下げる」のは苦しく面倒で手間もかかります。ですから、どうしても「面を広げる」方向に向かってしまうのはわかります。それこそ人の弱さかもしれませんし、超えなければいけない壁だとも思います。

 Eコマースの事業についても同様です。ショップをつくって広告をかけて、ひととおりの更新を施して、期待しただけの成果が出る。そんなことはほとんどありません。ひととおりのことをやっただけで期待した成果が出たとすればふたつ。すでにリアルの世界でブランドがあるか、メディアに大きく扱われるなどタイミングが良いかどちらかです。

 このような時代ですから、「掘り下げる」を続けた企業が勝ち抜くと思われます。しかし、「面を広げる」ことでの売上を求めてしまうもの。Eコマースもすでに業界の歴史が15年ほど経っています。「面を広げれば売れる=これさえやれば売れる」というのはないはずです。しかしもしかしたら「面を広げれば売れる」状態があったと思い、考えてみました。3パターンが思いつきます。

「面を広げる」ことで成功するパターンがあるならば

 1つ目はリアルビジネスの場合。たとえば、所沢市で成功したスーパーを、似た商圏をもつ船橋市でとうパターン。実際、所沢市と船橋市の商圏が似ているかはわかりません。ただ実店舗の出店であれば、似た条件をもつ場所にビジネスを展開することで「面を広げれば売れる」状態がつくれます。

 2つ目は市場全体が伸びているパターン。これもインターネットに限らずです。高度経済成長期がなぜ起こったかといえば、実は人口が増えていたからなんですよね。人口動態の話がすべてを物語っています。人口が増えていたから市場が伸びていた部分が大きい。

 3つ目は最初に取り組むパターン。ネット広告、SEO対策もリスティング広告も、楽天市場への出店もそうです。最初に取り組んだ人が有利で、「面を広げれば売れる」状態があったかと思います。ただ、この「最初に取り組む」に挑むのは本当に大変です。なにせ、自分の感度の衰えと世の中の変化と戦い続けなければいけません。

我々にできることは「掘り下げる」こと

 ネットショップというビジネスに取り組む場合、1つ目は元々対象外です。2つ目は日本の人口はこれから減っていくので可能性は薄い。3つ目として新しいソリューションに「最初に」取り組むというチャレンジで「面を広げて売上を取る」ことを狙うという考え方はあるのかもしれません。しかし、当たるも八卦当たらぬも八卦で、100%当て続けることは難しいと思います。

 そう考えると、やはり我々にできることは「掘り下げる」ことではないかと思うのです。

【合わせて読みたい】
マイケル・ポーターが語った、『戦略』とは‥? 【no.0101】
問題の本質は、「続けられない」こと。 【no.0102】
マイケル・ポーターの戦略フレームワーク(長山伸作さん)

モバイルバージョンを終了