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ポスターとチラシだけを活用して、ネットショップのアクセス数を倍にする【no.0693】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。

(前回はこちら

「七海さん、いまの1日30人のアクセスを、同じようにポスターとチラシを活用して1日60人に増やしてください」

麻間(あさま)さんの言葉に、七海さんは耳を疑いました。七海さんは「ポスターを貼る。チラシを配る」以外の方法・アイデアを麻間さんに求めたのです。しかし、麻間さんの返答は「同じことをやって、ネットショップへの成果(=アクセス人数)を倍にしてください」ということでした。

七海さんは少し驚いて、麻間さんに言いました。

「えっ、ちょ、麻間さん?それってどういうことですか。私はポスターもチラシもやりましたし、それをやったら、1日10人のアクセスが1日30人になったんです。もっと他に、なんか、お会計のときにクーポン券を出すとか、ネットショップのヒミツの暗号を教えるとか、そういうの他のネットショップだとやってるじゃないですか。そういうのを教えて欲しいんですけども!」

話しているあいだ、七海さんの語気は少しずつ強くなっていきました。最後は、麻間さんを怒っているような言葉になっていました。七海さんは自分自身でそれに気がつき、麻間さんに謝りました。

「・・麻間さん、すいません。ちょっと怒ったような感じになってしまって。でも、ポスターもチラシもやってるんだから、もっと他の方法を教えてくれたっていいじゃないですか~」

また怒ったような言葉づかいになりそうになるのを自分で感じ、七海さんは語尾を意図的に伸ばして話しました。

「七海さん、いまクーポン券を出しても、ネットショップのヒミツの暗号を出しても、あまり意味がないですよ。もし、クーポン券を出したとして、ネットショップのヒミツの暗号をお客様に伝えたとして、そうしたら、七海さん、次はどうするつもりですか?」

麻間さんはいたって冷静に、七海さんに質問を返しました。

「えっと。クーポン券とヒミツの暗号をやったら、次は・・。またアイデアを考えて・・ポイントカードとか、そういうのもあると思いますし・・」

七海さんは言葉につまりました。

「ポスターを貼って、チラシを配って、クーポン券を出して、ヒミツの暗号を教えて、ポイントカードを発行して・・どんどん数を増やしていくのは構わないですけども、お客様はそれで嬉しいですかね?」

麻間さんはまた冷静に七海さんに質問をしました。七海さんは麻間さんが伝えようとしていることを、なんとなく感じたようでした。

「お客様、そんなにサービス、いらないと思います・・」

七海さんの言葉に、麻間さんはやさしく返します。

「そうなんですよ。そんなに次々のサービス、お客様にとっては、実は面倒なことなんですよ。ポスターも、チラシも、クーポン券も、ヒミツの暗号も、ポイントカード発行も、施策としては否定しません。もちろん、効果もあると思います。でも、単に、サービスを重ねるだけではお客様は振り向いてくれませんよ。大切なのは、『掘り下げる』ことです」

「掘り下げる?」

七海さんは思わず質問を返しました。

「そう。『掘り下げる』ことです。これは、おそらく自分で体験してみないとわからないものだと思います。とにかく、まずは私を信じてもらって、ポスターとチラシだけを活用して、ネットショップのアクセス数を1日60人にするため、試行錯誤してみませんか?」

七海さんは少し不安になりましたが、まずはやってみようと思い、麻間さんに頷きました。

麻間さんがおにぎり水産から帰ると、七海さんは実店舗に向かいました。実店舗の担当の友花里さんに、「ポスターとチラシだけで1日60人のアクセス数にするため」の相談をしようと思ったのです。

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