著者:石田 麻琴

ページ制作の成功事例や理論は、あくまで次の改善を考えるための材料【no.0649】

 ネットショップのページ制作のコツ、について書きたいと思います。(前回はこちら

 ネットショップを運営する上での、ひとつのハードルであるページ制作。できれば自社で取り組み、自社にノウハウを蓄積していきたいところです。

 まずはパソコンのソフトを準備するところから始めます。そして、教本です。できれば質問・相談ができる仲間が近くにいるとスキルアップが早いでしょう。他店のネットショップやWEBサイトのコンテンツを参考にしながら、足りないスキルを補っていきます。上手くいかずフラストレーションがたまりますが、「1日1時間」着実に前進していきましょう。

 さて、ひと通りページを制作するスキルが身につきました。「1日1時間」の前進を続けることができれば、1カ月程度でここまでこられると思います。ページを作ることができるようになったら、「売れるようにするにはどうすればいいか」を考える番です。

 そうなんです。ページを制作することができることと、商品が売れることは別物なんですね。

 もう10年ほど前の話になりますが、私もネットショップの世界に入ったときは、フラッシュをバンバン使っているようなサイトが売れるものだと思っていました。(当時はフラッシュがイケていた)。しかし、実際にはフラッシュの画像なんぞ、ネットショップにくるお客さんは「誰もみない」んですね。「スキル・技術の高さ=ユーザーが感じる価値」ではなかったのです。

 普通に写真を撮れれば十分、普通に商品説明文が書ければ十分、普通にバナーが作れれば十分、普通にコーディングができていれば十分です。家族や友達に見てもらって「お、普通のECサイトだね」といってもらえるくらいなら十分です。「売る」ためにはそれくらいのスキルしか必要ありません。最低限「ちゃんとしているECサイトだね。ここを利用しても安心そうだね」と思ってもらうためのスキルアップです。このレベルだったら、「1日1時間1カ月」で何とかなりそうでしょう。

 問題は、「売る」ためのページ改善です。

 ここには「必勝法」は存在しません。自分でトライ&エラーを繰り返しながら、自社の商品にとって最適な見せ方を探していかなければいけないわけです。世の中には、ページ制作の成功事例が様々出ていますが、あくまでその会社の条件の元で起こったこと。商材が違えばサイトのコンセプトも違う、レイアウトもデザインも違う、運営者も違えばスキルレベルも違う、そしてお客さんも違う、わけです。

 例えば、商品ページのつくり方の基本は「感情を揺さぶって、論理で落とす」です。まずは1枚目、2枚目の画像で「この商品欲しい!」と感情を揺さぶり、ページを読み進めてもらう。スペックや保証、得点、限定感などを加えていき、後半で「買う理由を作ってあげる」というわけです。押さえておきたい理論ではありますが、「じゃあ、アマゾンは何であんなページなの?」という話になります。商材や対象となるお客さんが違えば、見せ方も変わるんですよね。

 ですから、運用改善のフェイズで軸としたいのは、ページ制作の理論ではなく、「成果データ」です。ページ制作の成功事例や理論は、あくまで施策を考えるための材料に過ぎません。ページを改善した結果、「効果があったのか。効果が無かったのか」、その改善内容との相関性を見続けていくことが重要です。ページ転換率(コンバージョン)や販売数、売上が「成果データ」の指標になっていきます。

 ページ制作も「PDCA」です。他店、他ジャンルのネットショップを参考にして、たくさんアイデアを出し、様々な切り口を実践して検証していきましょう。自社だけの販売ノウハウが蓄積するはずです。

 おわり。