著者:石田 麻琴

プロとは「知識を組み合わせる知恵」を持つこと。【no.0358】

 先日、とある業界の「知る人ぞ知る」方にお会いしてきました。具体的な話ができなくて申し訳ないのですが、いかにして施設の省エネ化を推進するか、その方法を提案する日本随一のコンサルタントの方です。話をさせていただいて「この人、本当のプロだなぁ」と思ったのが、「この場合はどうするんですか?」「こんな施設ならどうですか?」と、質問をすると、すぐに代替案や事例、考え方など「答え」が返ってくることです。この方に感化され、「プロの定義」はどのようなものか、考えてみました。

1.業界について、深い知識があること
 1つ目は、深い知識を持っていること。インターネットや文献を使えば調べることができることでも、聞けばすぐに答えが返ってくる。そんな人は、特に業界の素人にとっては有難い存在だと言えます。自分で調べる手間が省けるのはもちろんですし、深い知識の中から洗練して、相談相手に合った答えを出してくれることでしょう。Eコマース業界であれば、「SEO対策を知っている」「楽天市場の広告枠を知っている」「HTML言語を知っている」などです。ただし、前述のとおりインターネットや文献を使って「自分で」調べられることでもありますから、そこに差別性がなく、それだけで「プロ」と呼ばれるには少々弱いかもしれません。

2.知識の組み合わせ方を知っていること
 そこで2つ目です。2つ目は、知識の組み合わせを知っていることです。インターネットや文献で調べることができる一般的な知識について、その知識同士を組み合わせてできる「新しい知識」を保有していること、そして提案できること。この「新しい知識」が「知恵」だったり、ひとつの「理論」だったりします。Eコマース業界であれば「PPC広告の成果とSEO対策の成果の掛け合わせ」「サイト構成とアクセスの関係ロジック」「商品ごとの検索順位と改善の優先順位」などですか。この「知識の組み合わせ」ができるかどうか、それを相手の立場に合わせて提案できるかが、「プロ」として重要だと思います。

3.「わからない」を言えること
 3つ目は、「わからない」を言えることです。「やってみなければわからない」「それは無理です」「●●等の条件によって異なります」、これを言えることも含まれます。現状、世の中にある仕組み、提供されている情報を掛け合わせても、どうしても「わからない」ことがあります。それをはっきり「わからない」と知っているのも「プロ」の価値です。Eコマースの業界であれば、「ログインをしていない状態での顧客ごとの行動履歴」「インターネット人口における自社サービスの潜在顧客数」「スタート直後の予測売上」などです。しかし、明確な数字で言えなくても、大体のバッファの中で答えられるものがあれば良いと思います。

4.どういう情報があれば「わかる」かが言えること
 そこで4つ目です。「わからない」ことに対して、どういう情報があれば「わかる」か。これを知っていることが「プロ」として重要です。どういう情報とは、「より詳しい●●さんに聞いてみる」「××のデータをシステムから抽出する」など、人や仕組みに関することも含まれます。とにかく、どうすれば課題が解決できる可能性があるか、これを考えられることが大切です。Eコマース業界であれば「物流専門の××さんに聞けばわかる」「市場データにおける××が公開されればわかる」とかですかね。「2.知識の組み合わせ」により、「わかった知識」と自らの知識を掛け合わせて、より高度な理論を組み立てるのが、「プロ」の仕事になります。決して、全ての業界の全ての知識を保有している「プロ」なんてものはいないのですから、もっとも重要なのは「知識を組み合わせる知恵」なのかもしれません。

 以上、「プロ」について考えてみました。「プロ」は人に「プロ」と言われてこそ「プロ」。その方も、私のような省エネ素人が「プロだなぁ」と思ったのですから、やっぱり「プロ」なんだと思います。

 おわり。