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顧客データを取ることでマーケティングが活性化する。 【no.0126】

(前回のブログを読んでから、こちらをお読みください)

 前回のブログで、ネット選挙もオムニチャネルも本質的にはデータマーケティングってことで同じじゃない、という話を書きました。今回はネット選挙のデータマーケティングについて、もう少し深掘りしてみたいと思います。

 ネット選挙で取得したいデータは、成果データだという話をしました。インターネット上から成果データを取ることによって、リアル・ネット問わず、演説や握手、ブログやソーシャルメディアを使った一連のアプローチに対して、「定性的」ではなく「定量的」な評価ができるようになるということですね。また、これを繰り返すことによって、日々の改善がどれくらい結果に影響を及ぼしているか、これも「定量的」に判断できるようになるわけです。政治家の「結果や成果」はあくまで選挙結果だとは思いますが、有権者からの好感度とか、関心とか、そういうものに対してですね。

 で、この成果データ以外にも、取得したいデータがあります。顧客データですね。「どんな人達に、どんなアクションをしたところ、どのくらいの成果が出た」ということをデータマーケティングしたいわけです。この、「どれくらいの成果が出た」はいわずもがな成果データのことですし、「どんなアクションをした」は演説やブログなど日々の行動、そしてその内容になります。「どんな人達に」という部分が、顧客データということになりますね。

 若いファミリー層が多いところで、社会福祉の話をしても効果が薄いと考えられますし、老人が多いところで教育改革についてアピールしても効果が薄いと考えられます。実際にはどうかわかりませんが、予想としてはそうなりますよね。これをデータマーケティングをすることによって「定性的」ではなく「定量的」に評価していくわけです。若いファミリー層が多くても、2世帯で同居している家族が多い区画であれば、社会福祉の話が効果的である場合もありますし、以前の当選者に「社会福祉をうたったにも関わらず裏切られた」みたいな経験があるなら、社会福祉の話題を押しすぎるのはNGかもしれません。

 「顧客データ×アクション×成果データ」で、日々の施策を評価し、改善していくわけです。そして、どの有権者層にはどんな話が響くのか、インターネット上でどのような効果が図れるのかをチェックしながら、マーケティングを行っていきます。また、実際に評価をしてくれた人の顧客データを知ることも重要です。これも、次にマーケティングを行う際の重要な検討材料になります。似た有権者層に、似たアクションを起こせば、似た成果が出るのではないか、という仮説が立ちますからね

 多額のネット献金を得たオバマ大統領のキャンペーンも理屈としては同じです。ネット献金をゴールの指標として、リアル・ネットでのアクションを最適化し続け、多額の献金を得ることになったわけです。政治資金のうち、90%以上が250ドル以下の小口献金であったらしく、基本的に皆さんクレジットカードで決済をしているでしょうから、相当な数の顧客データが集まったはずです。ソーシャルメディアと連動したら、相当細かい趣味嗜好のデータも取れますね。この、ゴールに結びついた顧客データを成果データのひとつとして分析して、施策のテストを繰り返したわけですね。ちょっと、有権者を顧客というのは言い方が悪いですが。すいません。

 顧客データは、前述したクレジットカード情報のように、ゴールの後からだけしかわからないものではなくて、特にリアルでの政治活動の場合、その地域の情報が調査で出ているはずですから、「この地域は所得が高い人が多い」とか「この地域の人は、30年以内に越してきた人が多い」とか「この地域の人は、みんな東横線の菊名駅を使っている」とか、そんな事前の顧客の属性データは把握することができるはずです。そこからまずは、施策のプランを構築していく感じですね。後は、「原因」と「結果」を繰り返しみることによる改善だと思います。日本の政党はこのあたりの情報を共有しているのかしら。

 いろいろ国の規制があると思うので、いつどのタイミングで「ネット選挙=データマーケティング」が実現するかはわかりませんが、少なくともこの方向には向かっていくはずです。データマーケティングというと、なぜかデータの取得と集計と分析の話だけになりがちなのですが、ここまで読んでいただいてわかるとおり、データマーケティングにおいて本当の本当の本当に大切なのは「原因」の整理なんですよね。そこがわからない限り、データ活用の成功は一生ないと思われます。

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