著者:石田 麻琴

オンラインショップの成功事例は「即失敗事例」!?【no.0829】

 オンラインショップの成功事例は「即失敗事例」!?。

 事例ってあくまで事例だと思うんですよね。あくまで参考にしかならない・・のではないかなと思っています。

 気持ち的には事例を知りたい、聞きたい、というのはわかるんですよ。なんだかんだ、私自身も「どんな事例があるのかな」って気になりますし。ただ、事例を紹介するセミナーに何度もいったことがある方はわかると思います。事例を知っても売上って上がらないんですよね。

事例を聞いてもオンラインショップの改善には繋がらない

 これはECMJが解決したい大きなテーマのひとつでもあります。オンラインショップの具体事例(多くは成功事例)と、自社のオンラインショップを具体的にどう改善するかには大きな隔たりがあるんですね。だから事例を聞いても自社のオンラインショップの改善には繋がらない。でもまた具体事例を聞きにセミナーにいってしまう。でも改善には繋がらないという、永遠のループ。

 ここには、インターネットビジネスの特徴が潜んでいるのではないかと思います。情報がインターネット上で標準化してしまうので「価値になりづらい」という特徴です。

 たとえば商圏が決まっている実店舗のビジネスの場合。「これは船橋のスーパーの販促事例なのですが・・」という情報に価値があります。船橋で成功した販促ならば、似た商圏特性を持つ地域で活用することはできないか。そんな発想に至ることができます。

商圏のないネットの世界では先行したショップが有利

 しかしインターネットには商圏というものがありません。Aというオンラインショップがおこなった販促をBというオンラインショップが真似たとして、お客様はAもBもどちらも利用できてしまうんですね。そうすると販促のブラッシュアップに一日の長があるAがやはり有利なわけです。

 オンラインショップBだけではなく、オンラインショップC、オンラインショップD、オンラインショップE・・というように、同時多発的に成功事例を真似るオンラインショップが現れたとしても、お客様はAでもBでもCでもDでもEでも購入できる状態です。やっぱりお客様が選ぶのはAになります。

 「実はここだけの話・・」というクローズ事例ならばまだしもです。セミナーで話されていることや、WEB上に出ているオープン事例は、真似ること自体が危険です。「成功事例」は他店にとって「即失敗事例」になりえる、ということなんですね。

大切なのは自社なりの「原理原則」を固めていくこと

 セミナーであったり、本であったり、WEBサイトからの情報でおさえておきたいこと。それはあくまで「デジタルマーケティングの原理原則」ではないでしょうか。具体事例や小手先のテクニック、裏ワザはすぐに標準化され「即失敗事例化」します。日々の改善の選択するための、自社なりの「原理原則」を固めていくと良いと思います。

 セミナー等での事例から読み取りたいのもここです。このショップはどんな考え方を軸にしているか、何を考えてそのような行動を取ったか。「ハロウィン企画が成功したらしい。じゃあウチもハロウィン企画をやろう」ではありません。その土台にあるセオリーを感じられると、より自社のオンラインショップ運営に活きるのではないでしょうか。

 詰まるところ、オンラインショップの成功事例はやっぱり自分たち自身で作らなければいけないということなのです。

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