「データをとって、毎日カイゼン」するための指標づくり。(前回はこちら)
第三回目です。一回目に「商品企画・商材開拓」担当者の改善指標として、「新作アイテムのヒット数・ヒット率」と「仕入先別の販売数、売上、ヒット率」を紹介しました。二回目に「制作」担当者の改善指標として、「ページ(コンテンツ)の制作数」と「累計の販売実績」を挙げました。今回は、ネットショップの「集客」担当者における改善指標を考えます。
まず、ネットショップの「集客」担当者の仕事をおさらいしてみましょう。「集客」担当者のミッションは、ネットショップをたくさんの人に知ってもらうことです。もしくは、単に「たくさんの人」という絶対数ではなく、ネットショップで扱っている商品やサービスに対する「潜在顧客」と「見込顧客」にリーチすること、これも「集客」担当者の使命になります。このあたりは、ネットショップの規模や成長フェイズによって変わるでしょう。
「集客」担当者の仕事は2つの種類に分けられます。ひとつはお金を使わずにお客様を集める仕事、もうひとつはお金を使ってお客様を集める仕事です。前者においては、検索エンジン・ショッピングモール検索に対する内部対策、ブログやソーシャルメディア(twitter、facebook)の活用などが挙げられます。後者は広告戦略です。こちらは、インターネット広告と既存のマスメディア系広告の2種類に戦略が分かれます。中小規模のネットショップはインターネット広告が中心であり、大規模のネットショップはマスメディア系広告が中心です。
では、「集客」担当者の改善指標を考えます。
1.アクセス数(アクセス人数)
アクセス数=セッション数=訪問数、アクセス人数=ユニークユーザ数(UU数)と呼ばれるものです。アクセス数とアクセス人数のどちらを改善指標に選んでも構いません。数字の流れを読むためには、同一条件のデータを取得する必要があるので、どちらを改善指標にするかを決めてください。「集客」担当者がまず気にすべき指標は、このアクセス数(アクセス人数)ということになります。ネットショップのシステムや、Googleアナリティクスから毎日データを取得して、「数字がどう変化をしているか。その理由は何か」を考えてみてください。前日、前月、前年同月の3つの視点からデータを比較することをおすすめします。
2.顧客の獲得単価
インターネット業界の3文字アルファベット系指標用語が好きではないので、日本語で表現します。お金を使ってお客様を集めた場合、1人のお客様に購入いただくためにどれくらの広告費を支払ったか、これを改善指標にします。当然、この獲得単価は低ければ低いほど良い、改善によってできる限り抑えることを目指す、ということになりますが、広告費を支払っている以上「そもそも広告はペイしているのか(採算に合っているのか)」、その算出が重要になります。それを算出するために、当該の広告からお客様になる方は、何回購入してくれるのか、どれくらいの金額を購入してくれるのか、を予測しなければなりません。生涯顧客価値(LTV)や顧客関係管理(CRM)と呼ばれるものです。
3.新規アクセス人数、新規会員数、新規購買数
アクセス人数と顧客の獲得単価。このふたつの改善指標と並列して確認したいのが、新規のアクセス人数や新規の会員数、新規の購買数です。「集客」担当者の使命は、お客様を集めることですが、特に「新しい」お客様を集めることです。アクセス人数のうち、新規のアクセスはどれくらいあるか。また、新規で会員になった方はどれくらいいるか。新規で購入いただいた方はどれくらいいるか。会員登録や購入は、商品力(商品企画・商材開拓)や提案力(制作)にも絡む部分ではありますが、いかに「ショップが欲しい」新規顧客にリーチできたかは、「集客」担当者の改善指標のひとつになるでしょう。
商材、ビジネスモデルにより様々ですが、「集客」担当者の改善指標について考えました。次回は、「運営」担当者の改善指標について考えます。
つづきはこちら。