転換率(コンバージョン)は意外とやっかい。(前回はこちら)
転換率が変化する要因として、ひとつ目に「WEBサイトのカイゼン」、ふたつ目に「商品・コンテンツ・サービス」の追加を挙げました。この「商品・コンテンツ・サービス」の追加による転換率の変化を読み取るのは、実は意外とやっかいです。
たとえば、新商品を発売してその転換率を他のページと比較する場合。ページのレイアウトやコンテンツの中身が同一の形式でなければ、本来ページとしての比較はできません。また、過去の商品ページと新しく作成する商品ページでは、商品画像やテキストのクオリティも異なりますから(基本的には新しいページの方がクオリティは上がるハズ)、比較という考え方自体が難しくなります。
また、ひとつ目の「WEBサイトのカイゼン」と同様ですが、「どこからの導線がページにリンクとして張られているか」も転換率の数字を分けます。新規顧客の流入が多いページは、転換率が低くなりがちです。逆に、既存顧客(リピート顧客)がアクセスするような導線にページがリンクされている場合は転換率が高くなります。「どの商品が売れているか、どのサービスがうけているか。そして、どの商品やサービスに広告をかけるか」を検討する場合、この条件をテストしてから商品やサービスの決断をしたいところです。
さて、転換率が変化する要因の三つ目です。「顧客層の変化」です。自社のWEBサイトを利用している顧客層が変化することにより、転換率(コンバージョン)が変化をしていきます。
ごくごくシンプルに考えれば、ネットショップやWEBサービス、インターネットビジネスは、すべて事業を続ければ続けるほど転換率は上がります。なぜならば、新しいお客様(ユーザー)が積み重なっていくからです。きちんとしたサービスをお客様に提供し続けることができれば、お客様の数自体が増えていきます。
一定期間内で新規のお客様を獲得する数と、お客様がサービスから離れていってしまう数のバランスにより「顧客数」は成り立っていきますが、「新規のお客様の数-サービスを離れる数」がマイナスだとサービス自体が潰れていってしまいます。なので、基本的にはすべてのサービスが継続する限り「新規のお客様の数-サービスを離れる数」がプラスの状態になるはずです。既存顧客、リピート顧客の数が多くなると、転換率は上がります。
とはいえ、顧客増のスピード以上に、WEBサイトのアクセス人数の成長スピードが早い場合は、転換率は下がります。WEBサイトのアクセス人数を「新規顧客」「既存顧客」、「新規顧客」を「検索流入の新規顧客」「ソーシャルメディア経由の新規顧客」「インターネット広告からの新規顧客」「その他」などというように、分解してその成果の変化を見ていくのが良さそうです。
ということで、転換率が変化する要因として「WEBサイトのカイゼン」「商品・コンテンツ・サービス」「顧客層の変化」の3つをあげました。「うちのネットショップ、最近コンバージョンが悪くなってねぇ」といっても、その転換率が下がった理由には複合的な要因が絡まっているわけです。商品ページのコンテンツが季節外れになっていれば「転換率の悪化」ですし、WEBサイトのアクセス人数が激増しているのならば、それは「転換率の悪化」とは言いません。
アクセス人数や受注件数は積み重ねの数字なので、シンプルに「増えれば増えるほど良い」のですが、転換率(コンバージョン)を判断するのは実は意外とやっかいです。複雑に絡んでいる条件を読みながら、検証に取り組んでいきましょう。
おわり。
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