著者:石田 麻琴

データを見よう、データを活用しよう、とは言うけれど・・【no.0670】

 データの活用について書きたいと思います。

 弊社のECMJセミナーに参加された方は、なんとなく覚えているのではないでしょうか。1度や2度、話を聞いただけでは、「頭では理解できても、身体には浸透しない」ことなので、ぜひ何度も読み返してもらいたいと思います。初めての方は10回ほど読み返してください。

 インターネットマーケティングの運用について相談に来られた方に、必ず聞くことがあります。「データを見ていますか?」です。大体の方が「当たり前じゃないですか、見てますよ!」という感じなのですが、よくよく伺うと、根本的にデータの見方が間違っていることがあります。多くの方が、「現状のデータ」だけを、「時間が空いたとき」「気になったとき」「思いついたとき」に見ているのです。

 データを見る(読む)というのは、過去と現在のデータの比較です。前週と今週、新規のお客様の売上のみ、というように、同一期間同一条件で取得した過去のデータと現在のデータを比較するのです。この同一期間同一条件というところが重要で、ここがズレていると当たり前ですが正しい比較ができません。 まずは同一期間同一条件の過去と現在のデータを比較して、そのデータの変化を見ます。

 次に、過去から現在までに起こったことを整理します。現在のデータは、あくまで「結果」です。物事には必ず「原因」と「結果」があります。「因果関係」というやつです。過去から現在までに起こったことを整理して、「データが変化した理由は何か?」を探していくのです。

 「原因」には2つの種類があります。「内的要因」と「外的要因」です。「内的要因」は、自分たちが起こしたアクション・施策のことです。「外的要因」は、自分たちが起こしたアクション・施策ではなく、世の中の流れの中で起こったことです。この「内的要因」と「外的要因」の2つの視点から、「原因」を整理していきます。つまり、「データが変化した理由は、自分たちがおこなったアクションによるものなのか、それとも市場の流れで起こったことなのか」を考えるわけです。

 これをおこなうと、「原因」と「結果」についての整理ができます。当然、「内的要因」によってデータが変化したならば、それは「自分たちでおこなったこと」ですから、「再現性」があるということになります。「外的要因」は自分たちでコントロールできませんが、「外的要因」が起こったときの対策は自分たちでコントロールできます。このあたりはECMJセミナーで詳しく・・。

 この「原因」と「結果」の予測をおこなったら、現在から未来にかけて「どんなアクションを起こすか?」を考えます。もちろん予測をおこなった「結果」に響いていると思われる「原因」が、アクションを決めるための大きな参考になるはずです。

 最後です。時間が進むと、過去のデータ、現在のデータの次に、未来のデータが現れます。同一期間同一条件でのデータの取得ができるはずです。この未来のデータを現在のデータと比較して、そのデータの変化をチェックします。「過去→現在」のデータを比較し、予測して決定・実行したアクション(原因)が「現在→未来」のデータにどのように出ているかを検証するわけです。

 結果に出る原因もあれば、結果に出ない原因もあります。また、それをデータから判断して、次の自分たちが作れる「原因」を決めて実行するのです。これが、「データを見る(読む)」「データを活用する」ということです。

 ここで最重要なことは、「データを見る」ということは「データを集める」ことが本質ではありません。ITシステムの力を使えば、簡単にできるようになっています。大切なのは、「原因を整理しておく」ことなのです。詳しくはECMJセミナーに・・。

 おわり。