ネットショップのあるあるストーリー
「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら)
「それで、二子(にこ)社長、クレジットカードとコンビニ決済の料率ってどんなもんなんでしょう?」
鬼切社長は手帳にメモをして、うつむいたまま二子社長に質問をしました。
「どんなもんですかね。最近いろいろなサービスが出てきているようなので、後ほどインターネットでいろいろ調べてみるのが良いと思いますが、クレジットカードとコンビニ決済には、ひとつ違いがあるんですよ。クレジットカードは金額に対して料金がかかって、コンビニ決済は回数に対して料金がかかるんですよ」
鬼切社長は二子社長が言ったことの意味が理解できず、首を傾げました。「それって、どういう風に違うのでしょうか」。重要な部分を聞きのがしたのか、クレジットカード決済とコンビニ決済の「違い」など、どちらでも良い気がしたのです。
「例えば、おにぎり水産の笹かまぼこ、1セットが約1,000円だとしますよね。年商1億円だとすると、10万セットを発送しなくてはいけない、みたいな話をしました。もし、その注文が全てクレジットカード決済で行われた場合、年商の売上1億円に対してクレジットカードの料率がかかります。大体、4%前後というところでしょうか。1億円に対しての4%なので、400万円といったところですね。これが支払い額になります」
「はい。そこはなんとなくわかります」。鬼切社長は、十分理解しているというように、深い相づちを打ちます。「それが、コンビニ決済になると・・」
「はい。コンビニ決済になると、売上の1億円に対してではなく、10万セットに対して料金がかかります。1回の決済で150円程度がかかるので、10万回×150円で、1,500万円ということになりますね」
「ええええ~、べらぼうに高いじゃないですか。クレジットカードの4倍ですよ。4倍。そんなんコンビニ決済をする理由ないじゃないですか」
鬼切社長は「無い無い」というように、手のひらを振りながら、少しあきれた顔をしました。
「まあまあ、鬼切社長。おにぎり水産のネットショップの例で話しているので、コンビニ決済がすごく損をしているように感じるだけですよ。もし、お客様が1回の注文で笹かまぼこを2セット買ってくれたとすれば、発送の回数は10万回から5万回に減ります。そうすると、コンビニ決済の利用料金は、5万回×150円で750万円ですよね」
「あーなるほど!回数ってそういうことなんですね。当たり前のことに気づきませんでした。もしも、お客様が3セットずつ買ってくれるなら、500万円ですね。4セットずつなら、375万円。5セットずつなら、300万円の支払いですか。どんどんクレジットカードの料金よりも安くなっていきます。が、これって、実際に4セットや5セットをまとめて買ってもらえないと、成り立たない理論ですよね・・」
鬼切社長はクレジットカード決済とコンビニ決済の利用料金の違いを理解したことで、一瞬喜びましたが、あくまで理屈を理解しただけで、現実とは少しかけ離れていることに気がつきました。
「まあ、鬼切社長、あくまで、おにぎり水産のネットショップを例にした場合ですから・・。例えば、家電のネットショップさんとか、宝石のネットショップさんとかは、客単価が高い世界ですから、コンビニ決済が有効だと思うんですよね。ただ、コンビニ決済にも一定金額以上は料率で支払うなど、様々なルールがあるようなので、そこは注意された方がいいですね」
「うーん。うーん」。二子社長の話を聞いている最中から、鬼切社長はどこか納得がいかないようで唸っています。
「二子社長、そもそも、コンビニ決済なんて、必要ですかね・・」
つづきはこちら。