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オムニチャネルの本質をよく理解していて、投資を惜しまない。それがAmazon【no.0793】

 いやー、Amazonの攻勢が止まりません。というか、この3ヶ月で一気に他社を叩きにきた感じ。オムニチャネル戦略という点でも、Amazonが他社を大きく引き離して一位でしょう。本物のオムニチャネルの形態がみえてきた。

 11月18日、Amazonが「Amazonプライム」会員向けの新サービスとして、「Prime Music(プライムミュージック)」をスタートさせました。定額制の音楽配信サービス。Amazonプライムの会員であれば、プライムミュージックのコンテンツは聞き放題ということです。

 AppleやLineなど、音楽コンテンツの定額サービスが隆盛ですが、ここはAmazonが一歩リードかなと感じます。なんといっても「Amazonプライム」会員がフリーであることが大きい。元々Amazon物販の即日配達サービスのための会員制度であった「Amazonプライム」ですが、会員付加価値がどんどん上がってきているんですね。年間3,900円の定額で。

 私は、Appleの「Apple Music(月額980円)」に入っていましたが、プライムミュージックが出た途端にそちらに乗り換え、Appleの方を解約させてもらいました。なぜなら、「Amazonプライム」の会員だから。

 その翌日の11月19日ですか。今度は「Prime Now」のサービスが開始しました。こちらも「Amazonプライム」会員向けの新サービスで、Amazonから注文の1時間以内に商品を配送するというもの。1時間以内の配送だと890円が必要になりますが、2時間単位に設定された「2時間便」は無料。どちらかというと、この「2時間便」の方が利用されるのではないかと予想されます。

 ご存じのように、2015年の9月に「Amazonプライムビデオ」という定額見放題の動画コンテンツサービスがスタートしたばかり。「Amazonプライム」会員のロイヤルティがどんどん上がっております。年間3,900円の定額は変わらないのに。

 プライムビデオとプライムミュージックでAppleを叩き、「Prime Now」で楽天市場やセブンアンドアイに対抗する。さらに、ユーザーにとっては「動画・音楽コンテンツ」と「Eコマースサービス」を同時に受けられることができるからこそ、「Amazonプライム」の付加価値がメチャクチャ高くなるわけです。(年間3,900円なのに・・しつこい)

 オムニチャネルというのは「顧客主導」のマーケティングです。販売のオムニチャネル化、物流のオムニチャネル化などがあり、どちらかというと日本ではそちらの方がメインになっている感がありますが、オムニチャネルの本質は「リアルとネットの『顧客データ』の統合」なわけです。つまり、ポイントは「いかにして、優良な顧客データを集めるか」だというわけ。

 Amazonは徹底的に「Amazonプライム」会員の付加価値を上げることによって、たくさんの顧客データを集めようとしています。Eコマース、動画、音楽のコンテンツを同一の顧客IDで楽しんでもらうことによって、より深い顧客の趣味嗜好のデータを得ることが可能になるわけです。Eコマース、動画、音楽とくると、次は「Amazonプライム」会員が遊び放題の「ゲーム」が出てきそうなもんだけども。もしくは「kindle(本)」の読み放題がいよいよくるか。

 このあたりのオムニチャネルの本質的な理解、顧客データ獲得の動きをみてもAmazon世界最強説は動かないところ。これだけのことができるのは、本当にグローバル展開をしている(マーケットを広くみている)からこそなのと、赤字でも投資を惜しまない会社文化だからこそなのでしょうね。だって、これだけサービスがあって年間3,900円は普通に考えておかしいですもん。

 おわり。

 

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