ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら)
「『何をするか』を考えるより、まずは『成果を管理する方法』を作るところから始めるんじゃ」
猪井氏(いいし)先生がそういうと、おにぎり水産会議室にひとときの静寂が訪れました。猪井氏先生の話を真剣に聞いていた七海さんも、ポカンと口を空けています。猪井氏先生のいっていることの意味がよくわかっていないという表情です。
「すいません。『何をするか』を考えるより、『成果を管理する方法』を作る・・ってどういうことですか?『何をするか』が大切な気がするんですが・・」
ひとときの静寂の後、七海さんが猪井氏先生にいいました。
「七海はん、当然、『何をするか』は大切じゃよ。すべての成果はアクションによってのみもたらされるからな。しかしな、そのアクションをする前に、『成果を管理する方法』を作っておかないかんのじゃ。これがマーケティングのコツじゃよ」
これだけの説明で、七海さんが理解できたようではありませんでした。猪井氏先生もそれはよくわかっていました。よくわかっていないのに説明をしても仕方がない、とにかくまずはチャレンジをしてもらって、その実践の過程から七海さんに「『成果を管理する方法』を作ることの意味」を感じてもらおうと考えました。
「七海さん、ええか。いろいろ疑問、わからんことあるかもしれんけども、ここは大船にのった気持ちでワシが言うことにしたがってくれんか。まずは、ワシが言うとおりに『成果を管理する方法』を作ってみようや。最初にすべてのベースになる『成果を管理する方法』のエクセル作成を教えるからな。次の打ち合わせまで、そのとおりにエクセルを作っておいてくれ」
猪井氏先生はそういうと、会議室のホワイトボードにマス目を書きはじめました。「こんな感じのエクセルを作るんじゃ」。そう言いながら、マス目を埋めていきます。
猪井氏先生は8つのマス目を書きました。そのマス目には、右から「日付「売上」「アクセス人数」「受注件数」「転換率」「客単価」「施策・改善」「理由・特筆事項」という8つの項目が書かれていました。
「七海はん、まずはこの8つをメモってくれ。このうち、次回の打ち合わせまで、毎日『日付』『売上』『アクセス人数』『受注件数』『転換率』『客単価』、この5つの項目を埋めてもらいたい。『日付』はわかるわな。『売上』もわかるわな。『アクセス人数』ここは七海はんわかっとったかな?」
七海さんが少し考えて言いました。
「先日、麻間(あさま)さんが、このアクセス人数がわかるツールを導入したみたいなことを話されていました。麻間さんからメールがきてたと思うんですが、私、あんまり意味がわからなかったので、よく見てなくて・・すいません」
「おーおー、おそらくそれがアクセス人数を測るツールじゃな。たぶん、グーグルアナリティクスってやつじゃ。覚えとらんか?」
「あー、確かにグーグルなんたらとおっしゃっていたと思います。それですね」
「ほしたら、ワシが東京に戻ったら、麻間に電話させるわ。そのグーグルアナリティクスゆうツールを使って、毎日ネットショップにどれくらいの人が来店してくれたかを調べて欲しいんじゃ」
「わかりました」。七海さんはメモを取りながら言いました。
「ほんで、『転換率』。これは、『受注件数』を『アクセス人数』で割ったもんじゃ。つまり、お客さんが100人来店したときに、何人が買ってもらえるかゆうパーセンテージじゃな。受注件数が3件でアクセス人数が100人なら、転換率は3%。受注件数が10件でアクセス人数が50人なら、転換率は20%ゆう感じじゃ。なんとなくわかるかな」
七海さんは、少し首を傾げていました。「なんとなく意味はわかるんですが・・」
「まあ、ひとまず意味を理解するのには時間がかかるからな。まずは、アクセス人数、受注件数とともに、データとして残しておいて欲しい。そっからじゃ。ほんで、最後は『客単価』なんじゃけども、これは七海はん、実店舗やってたから、知ってるわな?」
ここは自信をもって、七海さんは頷きました。
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