ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら)
「スマートフォンでお買い物をされるお客様への対応ですかー。麻間(あさま)さんの話を聞いた感じですと、これはパソコンでお買い物をされるお客様の他に、独自の対応方法を考えていかなければいけなそうですね」
鬼切社長は言いました。
「鬼切社長、ズバリのところですね。いままでのネットショップの運営では、パソコンのウェブサイトを中心に考えていて、その内容をネットショップのシステムを使って自動でモバイルサイト化、スマートフォンサイト化、タブレットサイト化していました。これからは、別のものとして管理をしていかなければいけないでしょうね。そう考えると、先ほどお見せした、レスポンシブ対応のウェブサイトも、良いのか悪いのか果たして、という話になります」
鬼切社長はここも重要なポイントだと思い、麻間さんの話を細かくメモして、それから言いました。
「麻間さんに見せてもらったウェブサイト、さっきは『すごい!こんな便利なものがあったのか!』と思ったんですが、あれもパソコンの内容をタブレット化させたり、スマートフォン化させたりする自動のシステムなんですもんね。別のものとして管理しているわけではありませんもんね。というか、『別のものとして管理する』というのは、そもそも何なんでしょうね?」
ときたま出る鬼切社長の鋭い質問に、麻間さんは一瞬たじろぎました。「うーん、難しいですね」と小さく呟いた後、麻間さんはしばらく考え込んでしまいました。そんなとき、麻間さんの頭に浮かんだのは、猪井氏(いいし)先生がいつも麻間さんに伝えている言葉でした。「原理原則から考える」。その言葉の意味に気づいた麻間さんは、ゆっくりと言葉を発し出しました。
「これから始まるインターネットの新しい時代のことなので、はっきりとはわかりません。ただ、『別のものとして管理する』ことを原理原則から考えると、2つ言えることがあると思います。1つは、パソコンでのネットショップの運営と同じレベルで、同じくらい力を入れて、成果の数字を読んでいかなければいけない、ということ。もう1つは、その数字を読み、次の運用改善に繋げていく担当者をスマートフォン版のサイトにも付けなくてはいけないこと。この2つは、マーケティングのセオリーから言えると思います」
鬼切社長は、ウンウンと頷いて、メモを取りました。このとき、スマートフォン版のネットショップの担当として、鬼切社長にはある若者の顔が浮かんでいました。
「麻間さん、質問です。スマートフォン版のネットショップを運営していくにあたって、どんな担当者を用意した方がいいとかってありますかね。もちろん、最終的には私が決めなければいけないことではあると思いますが、アドバイスとしていただければ」
「ここもいくつかポイントがあると思います。1つは、スマートフォンを使う世代、もっと言えば、スマートフォンで買い物をする世代の人が良いと思います。パソコンのネットショップをほとんど知らなくても、スマートフォンのネットショップなら知っているよ、という世代。極端な話、パソコンのインターネットを知らない人間でも良いかもしれません。もう1つは、おにぎり水産の商材でもある笹かまぼこを買う世代に近い人が良いと思います。あまりに世代から離れてしまうと、お客様が笹かまぼこをどうやって食べているのか、どうやって楽しんでいるのかをイメージして、そこからのネットショップでの提案ができなくなってしまいますからね」
話を聞きながら、鬼切社長は若者の顔を頭の中で浮かべていました。「あの子なら、スマートフォンも笹かまぼこのことも知っている」。鬼切社長はそう思いました。
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