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インターネットの「的当てゲーム」は暗闇に向かって投げる。しかし回数に制限はない【no.0616】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

「七海はん、『的当てゲーム理論』って知っとるか。まあ、知らんわな。ワシが考えた理論じゃから・・」

 猪井氏(いいし)先生がそういうと、七海さんは唖然としました。おにぎり水産の会議室にまた、ひとときの静寂が訪れました。その静けさを振り払うかのように、猪井氏先生がいいました。

「まあ、知らんでええんじゃ。いまからワシが説明すりゃいい話じゃからな。七海はん、ここ、これからおにぎり水産と鬼切はんと七海はんがネットショップを行う上で、えらい大切になることじゃから、耳の穴かっぽじって、よく聞いてくれなよ」

 猪井氏先生は少し七海さんを脅すような口調でいいました。とくに悪意はないとわかっていましたが、どんな話がくるのだろうと、七海さんは緊張しました。

「ええか。七海はん、インターネットのマーケティングって『的当てゲーム』なんじゃ。『的当てゲーム』はわかるわな。遠くにある的に向かってボールを投げて、的の中心に当たったら50点、ちょっと外側だったら30点、的のフチのあたりだったら10点、的から完全に外れたら0点、みたいなやつじゃ。夏祭りとか縁日とか、温泉街の遊び場とかで見たことあるじゃろう」

「ま、まあ、やったことないですが、なんとなくわかります」

 七海さんは少し警戒するように言いました。

「これが、インターネットのマーケティングやねん」

「そ、そうですか」

 七海さんはあまり意味がわからなかったので、微妙な反応をせざるを得ませんでした。

「ただ、インターネットのマーケティングの場合、ワシがいま言ったような夏祭りの『的当てゲーム』とは異なる部分がひとつだけある。それは、何かいうと、『的』がどこにあるのか、その場所が見えんということじゃ。だから、『的当てゲーム』をやるプレーヤーは、暗闇の向こうに向かってボールを投げることになる。もしくは、目隠しをして的に向かってボールを投げるわけじゃな」

「えー、それじゃ、的にボールが当たるわけがないじゃないですか」

 猪井氏先生の話したことに、七海さんは自然とツッコミを入れていました。

「そうじゃな。100円で3回、ボールを投げるくらいじゃ、的に当たらんかもしれん。そもそも、的が見えんわけじゃからな。ただ、『的当てゲーム』をインターネットのマーケティングと考えた場合、もうひとつ決定的なルールがあるんじゃ。それは、的に向かって投げるボールに『回数の制限がない』っちゅーことじゃ」

「でも、回数の制限がなければ、ボールを投げまくっていれば、いつかどこかで的にボールが当たるってことじゃないですか?」

 七海さんは「何をメチャクチャなこと言ってるんだ」といった感じで、猪井氏先生にツッコみます。

「さすが七海はん!ご名答じゃ。そう、いくらでもボールは投げれるわけじゃから、いつかはボールが的に当たるんじゃ。ここで、想像してもらいたいんじゃけども、いま『的』と『ボール』て表現してるものって、インターネットのマーケティングの何に例えてるかって、七海はんわかるか?」

 七海さんは考え込みました。猪井氏先生は七海さんが考えているのをじっと待っています。しばらくして、七海さんが言いました。

「うーん、すいません。真剣に考えてみたんですが、ちょっとわからないですね・・」

 そう言って、照れくさそうに笑いました。

「おー。ほしたら、ここはサックリ教えたるわ。『的』いうのは、『お客さん』じゃ。もっと言えば、『お客さんのニーズ』じゃ。ほして、『ボール』いうのは、『施策』じゃ。お客さんに楽しんでもらうため、インターネットビジネスを動かす『アクション』のことじゃ。もちろん、『ボール』を投げとるプレーヤーは、『おにぎり水産』であり、『七海さん』あんたというわけじゃ」

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