著者:石田 麻琴

まずは数字が上がっているところから徹底してウォッチする。【no.0236】

 弊社のコンサルティングは、まず毎日ネットショップ(もしくはウェブサイト。以下同)からデータを取得して、それを日々の施策と照らし合わせて、原因と結果の相関性を見ていこう、というところからスタートするわけですが、数字が下がったところではなくて、数字が上がったところから徹底してウォッチしてもらうようにしています。

 例えば、ネットショップのアクセス人数。アクセス人数は毎日変化をします。ショッピングモールのシステムや、Google Analyticsから毎日データを取得していると、不思議と変化をしていることに気がつきます。ある日は500人のアクセス、翌日は600人のアクセス、その翌日は550人のアクセスというように、毎日同じ数字ではありません。ここで考えたいのが、なぜ500人のアクセスだったのか、なぜ600人のアクセスだったのか、なぜ550人のアクセスだったのか、というところです。

 それを知るためには、アクセス人数についてもう一段深掘りをしていくことが必要です。500人、600人、550人という3日間のアクセス人数について、新規のお客様と既存(リピート)のお客様の数はそれぞれいくつだったのか、ウェブサイトに至った検索キーワードは何のキーワードが多かったのか、ウェブサイトに至った参照元のサイトはどのサイトが多かったのか、などの割合を数字でウォッチしていくわけです。すると、アクセス人数500人の日と600人の日を比べて、「液晶テレビというキーワードからの流入が50人増えてますね」とか「プラズマテレビ比較サイトからの流入が30人減っていますね」みたいな話になります。ここまでくると、「ではその原因は?自分達がやったこと(つまり内的要因)それとも市場環境で起こったこと(つまり外的要因)どっちだろうか?」という話になるのですが、ここで数字が下がったところではなく、まずは数字が上がったところを徹底してウォッチしてもらうわけです。

 ではなぜ、まず数字が上がったところを徹底してウォッチしてもらうのか、です。もちろん、数字が下がったところの情報が有益でないということはありません。しかし、数字の変化を内的要因と外的要因から判断するという視点からみれば、数字が下がったところの原因の多くは「外的要因」にあたります。なぜなら、日々業務を進めていく中でお客様に対して行っているアプローチは、基本的にすべて「数字を上げる」ために遂行されていることだからです。つまり、数字が上がったところの原因としては「内的要因と外的要因」の2つが考えられ、数字が下がったところの原因としては「外的要因」が考えられることが多いということです。

 とはいえ、あくまで原因として外的要因が考えられることが“多い”ということであり、数字が下がった理由として「内的要因」がないわけではありません。例えば、ネットショップのお客様にそぐわない企画を立ててしまったとか、不謹慎な表現を使ってしまったとか、モバイルメルマガを深夜に配信してしまったとか、数字が悪化する要因がないわけではないですが、ほとんどがミスの類になります。数字が上がった原因として考えられる内的要因に比べれば、数字が下がった原因として考えられる内的要因の数は10分の1以下です。あくまで、自分達が知りたいのはまず内的要因、「次のアクションとして何をすれば良さそうか」ですから、より上がった数字をウォッチすることに時間をかけることが大切なのです。

 世の中は良いことがあふれています。数字の分析も全て分析して、全てに対策ができれば本当は良いのでしょう。しかし、お金や時間というリソースは有限です。だから、優先順位というものが存在します。投資対効果が良いものを探し、徹底的に打ち続けなくてはいけません。まずは、数字が上がったところを徹底的にウォッチするところから始めてみてください。

 おわり。