ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら)
「インターネットの考え方って、実店舗とはまったく違うんじゃ。ダイエットの話、してええか?」
猪井氏(いいし)先生は突然そう切り出しました。
「はい。私、そういうの全然気にしないので、大丈夫です」
七海さんは答えました。七海さんはどちらかというと痩せている方なので、猪井氏先生もダイエットの例え話を切り出しやすい感じでした。
「ええか。七海はんはどっちかゆうと痩せてる方じゃから、あんまり気にせんかもしれんけど、ワシみたいに少し太ってたらな、『あー、ちょっとダイエットしよかな』と思ったりするわ。ワシはもう歳も歳じゃから、いまさらダイエットなんて、ゆうのもあるんじゃけど、ウチの麻間とかはな、『そろそろダイエットしなきゃヤバいですよねぇ』なんてよくワシに言っとるわ」
七海さんは、猪井氏先生と麻間さんがやり取りをしている姿をイメージして、ニコニコしながら猪井氏先生の話を聞いていました。
「ほんで。まあ、ダイエットするゆうたら、基本的には2つしか方法はないわけじゃ。ひとつは運動じゃな。身体を動かして、カロリーを消費することじゃ。もしくは、筋肉をつけて基礎代謝を上げるゆう方法もある。どっちにしろ、『運動する』ゆうことじゃな。んで、もうひとつが、食生活を管理するゆう方法じゃ。いつも肉ばっか食っとったなら、野菜や魚もバランスよく食べる。間食をしないみたいなのもあるし、炭水化物をなるべく食べないようにする、みたいなダイエットもあるじゃろう。まあ、それが健康にいいか悪いかは別じゃけどもな。まあ、ダイエットの方法としてこの2つがあるわ」
七海さんは猪井氏先生の言葉のリズムに合わせて頷きました。
「じゃあ、まずダイエットのために、走ろうかと。走って体重落そうかと考えるわけじゃな。そんで、例えば1キロ走った。まあ、七海はん、ここは自分が今日の朝、1キロ走ったと考えてや。1キロ走った後に家に帰ってシャワー浴びて、風呂の前に置いてある体重計にのったら、なんと、1キロも体重が減ってたとする」
「距離の1キロと体重の1キロの表現が一緒ですね」。七海さんが細かいツッコミを入れました。
「七海はん。そこはええ。1,000メートルって表現したって、1,000グラムって表現したってええ。まあ、先いくで。1キロ走って、なんと体重が1キロ減ってた。七海はんの元々の体重が50キロで、1キロ走ったら49キロになってたわけじゃ。七海はんのダイエット目標が45キロだとしたら、七海はん、あんた次に何する?」
「そうですねぇ。いろいろやることあると思うんですけど、1キロ走って1キロ体重が減ったなら、あと4キロ走って4キロ体重を落としますかね。そっちの方が確実な気がしますし」
「そこじゃ!!」
猪井氏先生は突然大きな声を出しました。いきなり大声を出したので、七海さんはとっさに「ビクッ」と身体を動かしました。
「猪井氏先生、ビックリさせないでくださいよ。そうやって、いつも突然大きな声を出すんですから。『そこじゃ!!』って何ですか、『そこじゃ!!』って」
猪井氏先生は「すまん、すまん」と言いながら、七海さんに説明を始めました。
「七海はん、流石あんたいいとこ突いとる。1キロ走って1キロ体重が減ったなら、もう1キロ走ったら、もう1キロ体重が減るんじゃないかって考えるじゃろう。ほんで4キロ走ったら4キロ体重が減るんじゃないかって思うじゃろう。そうそう、それがインターネットのマーケティングってもんじゃ」
「すすすす、すいません。全然、猪井氏先生がおっしゃっていることの意味がわからないのですが・・」。七海さんは困ったように言いました。
「おー、七海はん、すまんの。何が言いたいかいうとな、『なんで数字が変化したかがわかれば、どうすれば数字が変化するかがわかる』ってことじゃ。それがインターネットのマーケティングじゃよ」
つづきはこちら。