きたれ女性と若者!競馬人気をまくり差せ!競艇場「売上アップ」マーケティング。(前回はこちら)
顧客像をはっきりさせるための旅
マーケティングの改善活動をスタートする軸として、「現在のお客さんがお客さんである理由」をリサーチします。過去に何らかのデータが残っていればそれを参考にすることができます。インターネットを介していればデータを取得・蓄積・集計できるので楽です。しかし、いずれも参考になるようなものが無い場合は、マーケティングチーム自らがお客さんの元に動いていって、生の声を1件1件拾うしかありません。汗を流すわけです。
なぜ競艇に興味をもったのか、なにがきっかけで競艇場にやってきたのか、どうして競艇場の来場をリピートしてくれているのか。お客さんの答えは様々だと思います。ここで、すべての意見を参考にしたいわけではありません。すべての意見を参考にしたら、具体的なアクションがぼやけますし、決まりません。自分たちが想定している「顧客像(ペルソナ)」に近い方が、何に興味をもち、何きっかけで来場し、なぜリピートしているのか、というところが重要なのです。
ですから、現場に降りていってお客さんの生の声を聞く、というのは、アンケート的な要素もありつつ、「自分たちがどんなお客さんを顧客像(ペルソナ)にしたいのか」をはっきりさせるための旅でもあるわけです。多くの場合、事業を進めるごとに「顧客像(ペルソナ)」が非常に曖昧になっています。ここをバシッと定義するわけです。
「顧客像(ペルソナ)」を定義するとなると・・
必ず反論として出てくるのが「ペルソナ以外のお客さんを切ってしまうのか」という意見です。好んで「切る」わけではありませんが、もしペルソナ以外のお客さんが来場したとしたら、「ラッキーだね」ということになります。つまり、これからマーケティングの改善活動をおこなっていく中で、ペルソナ以外のお客さんが来場したとしても、「それは改善活動の成果としてはカウントしない」ということです。マーケティングは「因果関係」で成り立っていますから、「因」をどこにもってくるかを決めるのです。それが「顧客像(ペルソナ)」になります。
この「顧客像(ペルソナ)」についてはマーケティングチームの中でも様々な議論が飛ぶと思います。ひとつの意見として必ず出るのが、「女性顧客を増やしたい」という意見です。ペルソナとしては、「20代後半、独身のOL。2人組で競艇場に遊びにくる」みたいなイメージで、新しい顧客として期待する声が出るでしょう。他には、若い男性をもっと増やしたいとか、中年男性でいいのではないかとか、やっぱりお金を持っているし老人だよね、みたいな話が出てくると思います。
「若い女性を新しい顧客として取り込みたい」はアリか
これ、どの意見も間違いではありません。事業責任者を中心として、マーケティングチームが好きなように決めればいいだけです。そこに向かって改善活動を始めればいいだけですから。
しかし、リソースは有限です。お金も時間も潤沢ではありません。着実に改善・成長していけば、どんなペルソナも実際のお客さんになってくれると思いますが、そのために施設の改築が必要であったり、成果が出るのが10年先だったりすると困ってしまうのです。お金も時間は、日々なくなっていきます。なにより最悪なのが、マーケティング戦略を立ち上げたマーケティングチームのメンバーが退職をしてしまうことです。日本の企業だと、よくあることだと思います。引き継いだ人間は「?」というわけです。
そう考えると、よくある「若い女性を新しい顧客として取り込みたい」というのは、お金的にも時間的にも浮世離れしているように思えるのです。まずはそこじゃないだろう、と。
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