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おにぎり水産のことを知ったお客様ならショッピングモールに流す必要はありません。【no.0413】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

 「なぜですか?」。鬼切社長はとっさに、猪井氏(いいし)先生に質問を投げかけていました。

 おにぎり水産がこれからショッピングモールでネットショップを運営していくか、それもと自社サイトでネットショップを運営していくか、二子(にこ)社長にその特徴の説明を受けてから、鬼切社長は悩んでいました。

 インターネットに対する知識が足りない中、鬼切社長自身が思っていたのは「ショッピングモールへの出店」でした。以前、ネットショップを運営していたのはショッピングモールでしたし、ショッピングモール自体がお客様を集めてくれるので、広告費率を削減できるのではないかという考えもありました。

 しかし、「無くそか。ロイヤルティの5%」という猪井氏先生のひと言で、さっくり自社ドメインサイトでのネットショップ出店を提案されたわけです。

「ショッピングモールに出店しないで、ネットショップをやる理由なんじゃけどな。鬼切はん、以前、おにぎり水産のネットショップの方向性を話し合ったこと、覚えてるじゃろか?」

 「もちろん、覚えていますよ」。鬼切社長は自信を持っていいました。確か、猪井氏先生との2回目の打ち合わせで話したのが、「おにぎり水産ネットショップの方向性」でした。

「ほんなら、その『おにぎり水産のネットショップの方向性』って、どんなんでいくって話やったっけ?」

 「えっと‥」。鬼切社長は返答に戸惑いました。方向性に関する打ち合わせを行ったことは覚えているのですが、肝心の内容が思い出せません。鬼切社長は焦って、手帳を過去に遡り、打ち合わせのメモを探し始めました。

 「鬼切はん、その様子じゃと、覚えてないんじゃな」。猪井氏先生が「ハァ」とため息をつきました。

「もう探さんでええから、いまからワシが言うこと、大きく紙に書いておにぎり水産の一番目立つところに張っとけ。おにぎり水産のネットショップは『工場併設の実店舗を利用したお客さんが自宅に帰って、もう一度笹かまぼこを食べたくなったときに来てもらえるネットショップ』を目指す。そういう話になったはずじゃ」

 それを聞いて、鬼切社長は猪井氏先生と話した内容を何となく思い出しました。と同時に、猪井氏先生が打ち合わせの内容をハッキリと覚えていたことにも驚きました。

「鬼切はん。ええか。大切なのは着実な1歩を積み重ねていくことなんじゃ。そのためにも、一度きちんと話し合ったことは忘れちゃいかん。一度にたくさんのことを覚えるのではなく、1段1段着実に少しずつ階段をのぼっていくのが大切なんじゃ」

 猪井氏先生のその言葉も、いつかどこかで猪井氏先生の口から聞いたことがあるなと、鬼切社長は感じていました。「わかりました。おにぎり水産の掲示板に張っておきます」。鬼切社長は言いました。

「まあ、ひとまずそこはちゃんとやっとけ、ゆーことでええわ。んで、おにぎり水産のネットショップの方向性がこれじゃから、ショッピングモールでネットショップをやる意味はないんじゃ、わかるか?」

 鬼切社長は、いまいちピンときていない様子でした。それを感じた猪井氏先生が続けて言いました。

「要はな。鬼切はん。新しいお客さん、つまり新規顧客は、まずインターネットのショップには来ないわけじゃ。最初にくるのは、おにぎり水産の工場見学、ちゅーわけじゃ。おにぎり水産の工場見学にきて、実店舗で笹かまぼこの土産を買うたお客さんは、当然おにぎり水産のことは知ってるわな。つまり、ここで新規顧客が既存顧客になった、ゆーことになる」

 鬼切社長は、何かを理解したように、手をパンと叩きました。

「あー、なるほど。そういうことですね。おにぎり水産のことを知っているお客様は、実店舗のチラシを見てネットショップにきてくれたり、インターネットで『笹かまオニギリ』で検索してネットショップにきてくれたりしますもんね」

「そうじゃそうじゃ。ほんなら、わざわざ5%のロイヤルティを支払ってショッピングモールにお店出すこともないわな。前もゆうたじゃろ、『利用してもらったお客さんが一番のお客さん』ゆーわけじゃ」

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