著者:石田 麻琴

中小企業のEコマースは最初の月商100万円をどう作るかが重要【no.1149】

商品原価率にもよりますが、ネットショップの売上が月商100万円を超えたあたりから、広告費をねん出することができるようになります。

商材が価格競争になっている場合、月商100万円でも広告費を出すのは厳しいかもしれませんし、Eコマース事業としての目標値から、月商0円でも広告費をかけるという会社もあるでしょう。そのあたりは、個別の例なのでひとまず置いておいて、一般的な場合と考えてください。

月商100万円のネットショップが広告費に月額10万円を使うとすれば、売上に対する広告費率は10%です。カード決済の利用料や送料を売上に含んでいる場合の負担、オフィス賃料や人件費の固定費などもありますが、広告費が10%ならばなんとかねん出することができるという会社が多いのではないかと思います。商品原価率が20%や30%という会社ならば、広告費率を20%程度まで引き上げることができます。月商100万円に対して、月額20万円の広告を使うイメージです。

ひとつ大切なのは、月商100万円までは広告費を使わずにできるだけ自力で達成しましょう、ということです。

広告費を使わずに売上を上げるためには、転換率(コンバージョン)を上げなければいけません。お金をかけてネットショップのアクセスを増やすことができないわけですから、いまネットショップに来店してくれているお客様に「どうやったらもっと楽しんでもらえるか」「どうやったら商品が探しやすいか」そして「どうやったら購入してもらえるか」に頭を使わなくてはいけないわけです。もちろん「一度購入いただいたお客様に、どうやってリピートしてもらうか」も改善の重要なテーマになります。

頭を使って知恵を絞ると同様に、広告を使わずに月商100万円を達成させるために必要なのが、汗水を流すことです。つまり、ハードワークです。お金が使えないわけですから、できる限り頭を使って効率化を考えた上で、あとは時間を使って数をこなすしかありません。ネットショップの商品登録数を増やすこともそうですし、コンテンツを充実させるためにマメにブログを書くとか、商品ページの装着画像・活用画像・使用画像を充実させるとか、クオリティもさることながら、「やり抜き」度合が大切になってきます。

お金を使わず、頭を使う。お金を使わず、汗水を流す。このふたつで月商100万円を達成することができれば、運営力のあるネットショップができているといえます。そしてそれは、運営力のあるEコマーススタッフがいるということでもあります。

この状態で月商100万円を達成することができれば、月商300万円、月商500万円、月商1,000万円と成長するのはそう難しいことではありません。商材の市場規模の問題にもなりますが、月商2,000万円、月商3,000万円も見えてきます。なぜなら、最初に書いたとおり、月商100万円を超えると広告費をねん出できるようになるからです。

とにかく、最初の月商100万円をどうやって自力で作るか、それが中小企業のネットショップの成長のポイントになります。専任のEコマース担当者をあてることができない。限られた時間の中でネットショップを更新しなくてはいけない。販促の予算を取ることもできない。会社の中でもEコマース事業の存在が認められていない。そんな中で、月商100万円の壁を突破しなくてはいけません。

とはいえ、月商100万円のためのこの試行錯誤は健全です。アウトソーシング、アウトソーシングでいきなり強引に売上をつくろうとするよりは。

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