人に会う、ということはとにかく大切で、本を読むよりもセミナーを聞きにいくよりも、とにかく1対1で人に会うことが、自分を広げ、相手を広げることになると思う。
そういえば、昔こんなことがあった。
ネットショップの運営者時代に、自社サイトをオープンさせることになった。社長からその役が自分に依頼されたわけだ。それまでショッピングモールでのネットショップ運営がメインだったから、自社サイトのことはわからない。特に、SEO対策について話が聞きたい、そう思っていた。
社長に紹介されたネットショップの会社に伺った。担当の方に聞くと、「SEO対策ですが、うーんモゴモゴ・・」とあまり話したくない様子。ノウハウに抵触する部分だからだろうか。まったく具体的な話を聞くことができず、オフィスに帰ることになってしまった。
同時期に、友人の紹介でネットの広告代理店のマネージャーと知り合いになった。SEO部門の責任者ということで、早速、スタッフも連れて会いにいった。前回の方と同じような対応かと思ったら、まったく逆。SEO対策の事例やトレンド、具体策などをサラッと教えてくれた。本当にサラッと。
おそらく性格的な違いもあるのだと思うが、広告代理店のマネージャーとしてはネットショップの知識を得られることも魅力的だったのだろう。こちらがEコマースの市場環境の変化について、情報を共有したのはいうまでもない。
自分にとっては当たり前、業界にとっての常識は、ほかの人、ほかの業界にとって非常に有益な情報になりえるということだ。また、業界が違えば、情報をまるまる交換することができるため、情報にブロックをかけずに話すことができやすい、ともいえる。
人は誰もが何かの専門家である。だから、教える側にもなるし、教わる側にもなる。これを繰り返していくと、業界間を飛び越えた知識がつき、業界内の人が思いつかないような発想を展開することができようになるのではないだろうか。
ECMJの場合、コンサルティングという立場上、様々な商材の会社から相談を受けることが多い。また、クライアントさんには内部まで深く関わることも多く、「あー、この業界ってそういう感じなんだぁ」と勉強になることが非常に多い。システム会社や制作会社とも関わる機会が多いので、同様である。
たとえば、Eコマースの相談を受ける際、私としてはみなさんに似たような情報を提供しているつもりであるが、みなさんからもらえる情報はそれぞれかなり異なる。商材という点においても、包丁とかフリーペーパーとか胡蝶蘭とか、最近だとペット専用の仏壇を販売されているという会社さんもいた。
商材の違いもそれぞれながら、メーカーか問屋か小売りかの違いもあるし、沿革もそれぞれの会社で違う。ネットショップに取り組むための社内の体制も違うし、物流の内製もあればアウトソーシングもある。そうなると、Eコマースに対する取り組みのパターンは無限であり、一概に「こうすれば成功する」なんてありえないことがわかるのだ。
人に会うと何かが起こる。自分が知らない情報をもらえるだけではなく、自分が持っている情報を共有することができる。もしかしたら、自分にとってあまり役に立たない情報かもしれない。でも逆に、相手にとっては人生を変えるかもしれない情報にもなりえると思う。
1対1で話す。人は偉くなると1対多で話そうとするものだけど、1対1だからこそ共有できる情報がある。情報のクオリティは異なる。できるだけ、1対1で人に会うことを徹底していきたい。
おわり。