ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら)
「『内的要因』でも『外的要因』でもない、中間地点。これを探していくことが、ネットショップの成長に繋がっていくのではないでしょうか。そして、この中間地点を見つけるには『行動』を続けるしかありません」
麻間(あさま)さんは七海さんと友花里の顔を見ながらいいました。
「そして、この中間地点のことを『潜在的なニーズ』や『潜在的な需要』というのではないでしょうか」
麻間さんはさらに付け加えました。七海さんと友花里さんは、今回の「わさび漬け笹かまぼこ」の一件から、ひとつの需要を掴み、その成果をネットショップと実店舗を改善することによって最大化させてきたのでした。この経験から、ふたりは多くのことを学ぶことができたのです。
この「わさび漬け笹かまぼこ」のヒットをきっかけにして、おにぎり水産ネットショップ「笹かまオニギリ」の売上はぐんぐんと伸びていきました。「わさび漬け笹かまぼこ」が雑誌に取り上げられる前と後では、売上が5倍ほど違います。ネットショップ単体での売上も、月商500万円が見えるところまでやってきました。
猪井氏(いいし)先生、麻間さんとの打ち合わせによって、実店舗の「笹かまオニギリ」からネットショップの「笹かまオニギリ」にお客様を流す導線が強くなりました。そして、「わさび漬け笹かまぼこ」のヒットを最大化させたことにより、実店舗からの送客の他に、実店舗にこられない全国のお客様からもネットショップに注文が集まるようになりました。
ネットショップの「笹かまオニギリ」には、実店舗からのリピートのお客様も、インターネット上からの新規のお客様も集まるようになってきていたのです。
ただ、七海さんと友花里さんはあまりの「わさび漬け笹かまぼこ」のヒットに少々の不安を感じていました。この人気がいつになったらおさまってしまうのか、この人気がおさまったらどこまで売上が落ちていってしまうのかという不安です。「わさび漬け笹かまぼこ」以外の商品でも売上を重ねることが大切だとふたりは思いました。
麻間さんとの打ち合わせでそのことを質問すると、麻間さんからの答えは意外なものでした。
「七海さんと友花里さんの不安な気持ちはわかります。現状、売上の80%以上を『わさび漬け笹かまぼこ』がつくっている状態ですから、この商品の人気が落ちたらどうしようと考えるのは仕方がないことだと思います。けれども、いまは徹底的に『わさび漬け笹かまぼこ』を売ることに努めた方がいいと思います。我々としては、一気に注文が増えてきたので『もうたくさんのお客様の元に行きついてしまったのでは?』とついつい思ってしまうところですが、そんなことはありません。まだまだ日本中に『わさび漬け笹かまぼこ』のことを知らない人はたくさんいます」
麻間さんからのアドバイスとしては、このチャンスに他の商品を推していく、のではなく、このチャンスにさらに「わさび漬け笹かまぼこ」を売っていく、だったのでした。
「計らずしも『わさび漬け笹かまぼこ』が雑誌に紹介されるというチャンスを得たわけですから、『わさび漬け笹かまぼこ=笹かまオニギリ』だと認知してもらえるくらいに徹底して伸ばしていきましょう」
そして、麻間さんは猪井氏先生から教わった商売の格言をひとつ、七海さんと友花里さんに教えました。
「人はブランドを知り、商品を知るのではなく、商品を知りブランドを知るのである」
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